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甲状腺機能低下で「筋肉がつる」理由とは?——仕組みと予防法をやさしく解説

甲状腺の働きが低下すると、手足やふくらはぎの「つり(筋痙攣)」が起きやすくなります。日常生活でつらい症状ですが、その背景にはホルモンが筋肉の代謝や電解質調節に与える影響が関係しています。ここでは、原因をわかりやすく整理し、日常でできる対策も紹介します。

なぜ「つる」のか — ホルモンが筋肉のスイッチを調整しているから

甲状腺ホルモン(特にT3)は筋細胞の代謝を促し、筋収縮・弛緩に関わる酵素や膜ポンプ(Na/K-ATPase)を維持します。甲状腺機能が低下するとこのポンプ活性が下がり、細胞内外のナトリウム・カリウムのバランスが乱れて筋の過興奮を招きやすくなります。これが筋痙攣の重要なメカニズムの一つです。

代謝低下・ATP不足や血流低下も影響

ホルモン低下で筋のミトコンドリア機能やATP産生が低下すると、筋肉が十分に弛緩できなくなります。また、全身の代謝低下に伴う末梢血流の低下が疲労物質の除去を妨げ、つりを起こしやすくします。さらに、筋肉痛や筋力の低下、こわばりなどの症状が現れることがあります。これらは甲状腺性ミオパチーとして報告されています。

ミネラル不足(特にマグネシウム)にも注意

マグネシウムは筋弛緩とATP合成に不可欠で、甲状腺疾患ではマグネシウム代謝が関与することが示唆されています。

橋本病だけでなく、バセドウ病治療中にも起こりやすい

なお、甲状腺機能低下は橋本病によるものが最も一般的ですが、バセドウ病で抗甲状腺薬内服による治療中でも、一時的にホルモン値が下がると同様の「筋肉のつり」が起こることがあります。どちらもホルモン不足による筋代謝の低下が背景にあります。

甲状腺ホルモン治療開始後の改善について

多くの場合、甲状腺ホルモン薬の内服を開始し、血中ホルモンが適正範囲に戻ると、筋肉のつり・だるさ・こむら返りは数週間〜数ヶ月のうちに自然と軽快していきます。ただ、改善が遅れたり、症状が残ることもあります。

日常生活・食生活できる対策

適切な甲状腺ホルモン補充がもっとも重要です。

 

その上で、 

  • 十分な水分補給
  • 過不足のない塩分補給
  • マグネシウムを含む食品(ナッツ類や葉物野菜、全粒穀類など)を意識した食事
  • 寝る前や運動後のストレッチで血流を改善する

などが対策になります。 

 

症状が改善されない場合は放置せず、医師に相談し、血液検査で電解質や甲状腺ホルモンを調べましょう。

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参考文献

Clausen T. Na+-K+ pump regulation and skeletal muscle contractility. Physiol Rev. 2003 Oct;83(4):1269-324. doi: 10.1152/physrev.00011.2003.

 

The National Institutes of Health (NIH), StatPearls: Hypothyroid Myopathy.