世界の都市と新型コロナウイルスの抗体保持率の実態調査

ここ数日、ニューヨークをはじめとする都市部において、新型コロナウイルスにおける市民の抗体検査の調査結果が発表されています。
慶応大学病院のPCR検査の結果についても驚くべき結果が発表されていました。
抗体検査の結果、ニューヨークでは約14%人々に抗体が認められ、慶応大学病院のPCR検査では症状のない手術予定患者から約6%の陽性者が認められたと報道されました。
4月24日付の日本経済新聞や朝日新聞にも掲載されていたため、これらの抗体検査の結果について既にご存知の方も多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスのPCR検査結果から予想されること
報道された抗体検査の結果から、新型コロナウイルスは「インフルエンザよりある程度強い感染力および重症化率と死亡率」であることが分かります。
さらに言えることは、これはあくまで「検査を受けた方のうち、感染が確認された方の割合」だということです。
実際の感染者数が、発表されているPCR検査数よりも十倍以上も多いとなると、むしろ、重症化率と死亡率は下がるのです。
実際には無症状のうちに既に感染した方が非常に多くいると考えることができます。
新型コロナウイルス感染症対策で引き続きすべきこと

感染がすでに広まってしまったからといって、もう何もしなくて良い訳ではありません。
満員電車や人込み、会食など感染する可能性が高いことが言えます。
既に市中感染が発生していて、感染者との接触機会が増大しています。
その多くが無症状なので、通常の日常生活を送っています。
咳やくしゃみ等もなく、マスクの着用などとは無関係にうつる可能性もあります。
こんな時、もっとも大切なのは「手洗い」です。
ウイルスは流水で手をしっかりと洗うことで水に洗い流すことができます。
- 人が触ったものを自分も触った時
- お手洗いに行った後
- 食事前、帰宅直後
手洗いは必ず習慣化しましょう。
<病院に通院中の方へ>
※注意すべきことは、日本ではPCR検査が進んでいないため、無症状の感染者が病院等で感染を広めてしまう恐れがあります。院内感染の有無に関わらず、受診時にも手洗い等を励行しましょう。一人一人が、「うつさない」「うつらない」努力をすることが大切なのです。
なぜ新型コロナウイルスは重症化しやすいのか

ところで、ウイルス固有の重症化率と死亡率がそれほど高くないにもかかわらず、急激に重症化してなくなる人がいるのはなぜでしょうか?
その答えは、「新型」だからです。新型ウイルスの場合は抗体を人間が持っていないので、抗体による免疫機構が働かず、急激なウイルスの増殖を招き、劇症化しやすいのです。
では、なぜ劇症化しない人がいるのでしょうか?重症化どころか感染しても無症状の人もいます。
それに対する確定した答えはありません。人種差やウイルス固有の性質、あるいはウイルスにタイプがあると言う説もあります。
しかし、自宅隔離で家族全員が感染する場合もあれば、感染者と同居しても感染しない、あるいは無症状の人もいます。生活習慣の違いもあり、統計や検査ではつかみにくいところです。
新型ウイルスと免疫系と食生活
抗体を持っていない場合、人間はどのように新型ウイルスに対応するのでしょうか?
人間の免疫系は、多段階の複雑な機構で成り立っています。新型ウイルスの侵入に対して、それらの免疫機能が働き、抗体ができるまで持ちこたえるのです。新型コロナウイルスの場合はどのくらいで抗体ができるのか、よくわかっていませんが、おおむね三週間とも言われています。
つまり、とにかく新型コロナウイルスの侵入に対しては、免疫系の正常な働きに期待するしかないのです。免疫系が正常に反応し、過剰な反応でもなく、過小な反応でもなく、粘り強くウイルスと戦っていくことによって抑制していくことになります。
逆に、免疫系において過剰な反応がある、免疫系のいくつかの機能が不全である(働かない)場合はウイルスを抑え込めず、劇症化する恐れがあります。
そこで、免疫系が正常に働くようにバランスをとることが一番大切になります。感染症に対応する免疫系を整える食事の意味はここにあります。
免疫系でもっとも重要なのは食生活

免疫系が正常に働くようにバランスをとることが一番大切になります。
感染症に対応する免疫系を整える食事の意味はここにあります。
免疫系の作動段階で直接問題になる要因を抱えている方は、厳重な注意が必要です。具体的には、免疫抑制剤を使っている方、なんらかの免疫系疾患にかかっている方は要注意です。
バセドウ病の方の一部に対し、アメリカでは注意喚起していることは、既にお知らせしています。
食生活も含め、免疫系が正常に働かないような日常生活を送っている方も要注意です。
いわゆる基礎疾患がある方が重症化するということについては、基礎疾患とその治療が免疫系に何らかの影響を及ぼしている人が新型ウイルスに弱いと推定されます。
治療薬や治療法の副作用が免疫機能に影響する場合を含みます。これらの影響は個別具体的評価されなければなりません・例えば、乳癌の治療が直接的に影響するかどうかは、それぞれ判断せざるを得ません。主治医との相談が必要です。
基礎疾患がある場合、新型コロナウイルスの症状に二次的に耐えきれない場合があります。特に、心臓血管系や呼吸器系疾患の方は、新型コロナウイルスによる肺炎に堪えることができない傾向があります。
COVID-19対策として1人1人がすべきこと
新型コロナウイルス感染症への対策とは、免疫系が正常に働くようにバランスをとることが一番大切になります。
まず私たち1人1人にできることは、手洗いや過密を避けるといった基本的な感染予防対策に加え、次のようなことです。
- 基礎疾患のある方は必要に応じて適切な治療を受ける
- 栄養バランスの良い食生活を送る
- 疲労やストレスを溜めないように適度な運動を行いうこと
- 睡眠を十分にとる
つまり、健康的な生活を送ることは免疫系を正常化する上でもっとも重要であり、健康的な生活そのものが、新型コロナウイルス対策にも直結していくということです。
COVID-19の今後の見通し
感染率が非常に高いことから、集団免疫の成立が近い可能性も指摘できます。ある程度局所的な集団において、集団免疫が成立し、感染が終息することも考えられます。
この場合、第二波、第三波が次の冬以降に起こる可能性が否定できません。
春が過ぎて夏に近づき、新型コロナウイルスの勢いも衰えるかもしれませんが、次の秋、それから冬に再び来襲することが予想されるのです。
今回の新型コロナウイルス感染症が終息した後も、健康的な食生活をはじめとするライフスタイルを習慣化し、万が一の第二派、第三波が来ても動じない体づくりを心がけていきましょう。