ニュース · 31日 1月 2023

有機フッ素化合物PFAS（PFOSやPFOA）の甲状腺ホルモンへの危険性について

有機フッ素化合物のPFAS（PFOSやPFOA）は、甲状腺機能障害をもたらす恐れがあるとして、ヨーロッパでは以前から懸念されていますが、最近、日本のニュースでも大きく取り上げられています。PFOSやPFOAや甲状腺ホルモンへの悪影響や対策について見てみましょう。

有機フッ素化合物のPFAS（PFOSやPFOA）とは？

PFASとは炭素にフッ素が結合した有機化合物です。これに属するものとして、PFOSやPFOAなどが挙げられます。現在ではPFOSやPFOAを用いた製品の製造は原則禁止になっていますが、このほかにも多数のPFASやこれを用いた製品が存在します。

PFASは水をはじく性質があることから、コーティング剤や乳化剤等、幅広い製品に用いられています。私たちの生活の身近なところでは、シャンプーやファーストフードの包装資材、焦げ付かないフライパンや調理ヘラ等に使用されています。

有機フッ素化合物PFASは土壌や水中に溶け出し、これが含まれる地下水、井戸水等を長期的に摂取することで、人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされています。先ほど有機フッ素化合物は水をはじく性質があると書きましたが、これは結合力が強いためです。そのために分解されにくく、体内に長くとどまってしまいます。

このような悪影響の代表が甲状腺機能障害です。その他にも発がん性、腎障害、潰瘍性大腸炎等との関連性も指摘されています。

甲状腺ホルモンは代謝の調整や成長、胎児の発達を促すホルモンです。甲状腺ホルモンの分泌が不十分であったり、あるいは過剰な状態が続いた場合、甲状腺ホルモンによるこれらの正常な調整ができません。

妊娠中の母親に甲状腺機能障害が起こった場合、胎児の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるために十分な注意が必要です。また、子供の甲状腺ホルモン異常は、成長に悪影響を及ぼします。

甲状腺機能障害にはさまざまな原因がありますが、有機フッ素化合物のPFASもその主な原因の１つということです。

特に注意が必要なのは、橋本病やバセドウ病の方です。これらの自己免疫性甲状腺疾患に係る自己抗体が陽性の場合、PFASの悪影響が大きくなる恐れがあります。

身近なところにPFASを使用した製品がある場合、できるだけ使用しないこと、使用する場合は古くなったフッ素加工調理器具を避けること、製品の注意書きに書かれた使用温度帯を守ること、地下水や井戸水を飲まないこと等が考えられる対策となります。

橋本病やバセドウ病の自己免疫性甲状腺疾患は女性に多いため、早めに症状に気付き、甲状腺疾患の治療を受けることも対策となります。さらに、自己免疫疾患の診断を受けていない方も、妊娠を希望される方や妊娠中の方は、甲状腺疾患の血液検査を受けることが予防的な対策となります。

また、子供は有機フッ素化合物の影響が大きいため、６歳未満の子供について、有機フッ素化合物への暴露に注意が必要です。粉ミルク用の水、飲み水や高濃度のフッ素洗口薬等に注意しましょう。