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有機フッ素化合物PFAS(PFOSやPFOA)の甲状腺ホルモンへの危険性について

PFAS(PFOSやPFOA)の甲状腺ホルモンへの危険性について
PFAS(PFOSやPFOA)の甲状腺ホルモンへの危険性について

有機フッ素化合物のPFAS(PFOSやPFOA)は、甲状腺機能障害をもたらす恐れがあるとして、ヨーロッパでは以前から懸念されていますが、最近、PFASは日本のニュースでも大きく取り上げられています。PFOSやPFOAについて、また、甲状腺ホルモンへの悪影響や影響を避けるための対策について考えてみましょう。

有機フッ素化合物のPFAS(PFOSやPFOA)とは?

PFASとは炭素にフッ素が結合した有機化合物です。これに属するものとして、PFOSやPFOAなどが挙げられます。このような物質は内分泌かく乱物質※と呼ばれます。現在65種類の物質が内分泌かく乱物質として疑われ、影響の実態調査が行われています。

 

今日ではPFOSやPFOAを用いた製品の製造は原則禁止になっていますが、このほかにも多数のPFASやこれを用いた製品が存在します。

PFASは何に使われている?

PFAS(PFOSやPFOA)は何に使われている?
PFAS(PFOSやPFOA)は何に使われている?

PFASは結合力が強く水をはじく性質があることから、コーティング剤や乳化剤等、幅広い製品に用いられています。私たちの生活の身近なところでは、シャンプーやファーストフードの包装資材、焦げ付かないフライパンや調理用のヘラ(スパチュラ)等に使用されています。

PFOSやPFOAの人体への悪影響

有機フッ素化合物PFASは土壌や水中に溶け出し、これが含まれる地下水、井戸水、ミネラルウォーター等を長期的に摂取することで、人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとされています。有機フッ素化合物は分解されにくく、体内に長くとどまってしまい、人体にさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

このような悪影響の代表が、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症等の甲状腺機能障害です。その他にも発がん性、腎障害、潰瘍性大腸炎等との関連性も指摘されています。 

甲状腺ホルモンの働きと甲状腺機能障害

甲状腺ホルモンは代謝の調整や成長、胎児の発達を促すホルモンです。甲状腺ホルモンの分泌が不十分であったり、あるいは過剰な状態が続いた場合、甲状腺ホルモンによるこれらの正常な調整ができません。

 

妊娠中の母親に甲状腺機能障害が起こった場合、放置すれば胎児の発達に悪影響を及ぼす恐れがあるため、十分な注意が必要です。また、子供の甲状腺ホルモン異常は、成長に悪影響を及ぼします。

 

甲状腺機能障害にはさまざまな原因がありますが、有機フッ素化合物のPFASもその主な原因の1つではないかと考えられています。 

橋本病やバセドウ病の方はPFASに注意しましょう

 PFASの悪影響に特に注意が必要なのは橋本病やバセドウ病の方です。これらは、甲状腺機能障害を引き起こす自己免疫性甲状腺疾患です。橋本病やバセドウ病に関連する自己抗体が陽性の場合、PFASの悪影響が大きくなる恐れがあります。 

PFASによる人体への悪影響を防ぐための対策

PFASによる人体への悪影響を防ぐ対策
PFASによる人体への悪影響を防ぐ対策

PFASによる悪影響を避けるためには、PFASができるだけ体内に入らないようにすることが重要です。

 

身近なところにPFASを使用した製品がある場合、できるだけ使用しないか、適切な使用方法を守りましょう。例えば調理器具の場合、古くなったフッ素加工調理器具を避けること、空焚きや高温加熱を避け、製品の注意書きに書かれた使用温度帯を守ること等が対策として考えられます。

 

個人で利用する地下水や井戸水は水質検査義務がありませんが、飲用する場合は定期的に水質検査を受けると安心です。 

 

また、子供は有機フッ素化合物の影響が大きいため、6歳未満の子供について、有機フッ素化合物への暴露に注意が必要です。粉ミルク用の水、飲み水や高濃度のフッ素洗口薬等に注意しましょう。

まとめ

 

PFASは人体に長くとどまり、甲状腺機能障害をはじめとするさまざまな健康リスクを高める恐れがあります。できるだけPFASを体内に入れないように対策をとりましょう。

 

橋本病やバセドウ病は女性に多い自己免疫性甲状腺疾患です。甲状腺ホルモンは基礎代謝の調整や、胎児や子供の成長にも重要な役割を果たしています。自己免疫性甲状腺疾患の疑いのある方は検査を受け、甲状腺機能障害を放置しないようにしましょう。 

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参考文献