春の訪れとともに花粉症もやってくるという方はいませんか?くしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされ、「とりあえずドラッグストアで市販薬を」と考える方も多いでしょう。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療中の方は、薬の選び方に少し注意が必要です。特に「鼻づまり」に効く強力な薬には、心臓に負担をかける成分が含まれていることがあるからです。
今回は、バセドウ病の方が市販薬を選ぶ際に知っておきたいポイントを詳しく解説します。
なぜバセドウ病だと花粉症の薬に注意が必要なの?
バセドウ病など、甲状腺ホルモンが過剰になる病気では、交感神経が非常に敏感になっています。
心拍数が上がりやすい(動悸・頻脈)
- 血圧が上がりやすい
- 手が震える
- イライラや興奮を感じやすい
このような「体が常に全力疾走しているような状態」のときに、さらに交感神経を刺激する薬を飲んでしまうと、動悸や血圧上昇などの副作用が強く出てしまう恐れがあるのです。
特に注意したい成分「血管収縮薬(アドレナリン作動薬)」
市販の鼻炎薬の中でも、特に「鼻づまりを強力に抑えるタイプ」には、血管を収縮させて粘膜の腫れを引かせる成分が入っています。これが交感神経を刺激する原因となります。
注意すべき主な成分名:
パッケージの裏にある「成分表」をチェックしてみてください。
- プソイドエフェドリン塩酸塩(内服薬に多い)
- フェニレフリン塩酸塩(内服薬に多い)
- ナファゾリン塩酸塩(点鼻薬に多い)
- テトラヒドロゾリン塩酸塩(点鼻薬や目薬に多い)
これらの成分が含まれる薬の添付文書には、「次の診断を受けた人は相談すること:甲状腺機能障害」という記載があります。
「抗ヒスタミン薬」だけなら基本的には大丈夫
「花粉症の薬は全部飲めないの?」と不安になる必要はありません。花粉症薬の主成分である「抗ヒスタミン薬」(アレグラやアレジオンなどの第2世代)自体は、甲状腺への直接的な影響は少ないとされています。
【チェックのコツ】
「鼻水・くしゃみ」をメインに抑えるシンプルな抗ヒスタミン薬は比較的使いやすいですが、「鼻づまりにも効く!」と謳っている多機能な製品には、前述の血管収縮薬が含まれている可能性が高いので注意しましょう。
ホルモン値が安定していれば使える場合も
現在、治療によって甲状腺ホルモンの数値が正常範囲内に落ち着いているのであれば、血管収縮薬が含まれる薬を使っても問題ないケースも多いです。
ただし、自己判断は禁物です。
「数値が安定しているから大丈夫だろう」と思っても、体調や他の薬との飲み合わせもあります。必ず主治医または薬剤師に相談してから使用するようにしてください。
花粉症シーズンの体調管理のコツ
花粉症によるストレスや睡眠不足は、バセドウ病の体調管理にも悪影響を及ぼします。薬に頼るだけでなく、以下のセルフケアも意識しましょう。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は自律神経を乱し、症状を悪化させます。
- 栄養バランス: 1日3食、規則正しく食べることで、体力の消耗を防ぎます。
- 物理的な遮断: 高性能マスクやメガネを使い、体に入る花粉を最小限に抑えましょう。
まとめ:自分に合った対策を
バセドウ病などの甲状腺機能亢進症がある場合、花粉症の市販薬選びでは以下の2点を守りましょう。
- 「血管収縮薬(交感神経刺激薬)」が含まれていないか確認する
- 購入・使用前に医師や薬剤師に「バセドウ病であること」を伝える
自分の体の状態に合った薬を正しく選んで、つらい花粉の季節を無理なく乗り切りましょう。
関連ページ
参考文献
PMDA 医療用医薬品 添付文書データベース






