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甲状腺機能低下(橋本病)と潰瘍性大腸炎――関係はある?栄養・治療で気をつけたいこと

甲状腺機能低下(橋本病)と潰瘍性大腸炎の関係や食生活でつけたいこと
甲状腺機能低下(橋本病)と潰瘍性大腸炎の関係や食生活でつけたいこと

甲状腺機能低下症(多くは橋本病が原因)と潰瘍性大腸炎(Ulcerative ColitisUC)は、それぞれ別の病気ですが、「まったく無関係」ではないと考えられています。ここでは、両者の関係、具体的に起こり得る影響、そして日常で気をつけたい栄養や治療上のポイントをわかりやすくまとめます。

甲状腺機能低下(橋本病)と潰瘍性大腸炎は“併発しやすい”?

橋本病は自己免疫性甲状腺炎、潰瘍性大腸炎(以下UC)は腸の炎症性疾患であり、どちらも免疫の異常が関係します。 

 

一般に自己免疫疾患は1つあると別の自己免疫疾患を併発することがあり、橋本病とUCが同時に見つかるケースも報告されています。ただし研究によって結果に差があり、因果関係(どちらが原因か)はまだ完全に解明されていません。

甲状腺ホルモン低下は腸の働きに影響する

双方の因果関係は解明されていないものの、甲状腺ホルモンの低下は腸の働きに影響を与えます。

 

甲状腺ホルモン(特にT3)は全身の代謝や臓器の働きを調整します。甲状腺機能低下では腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、便秘や腹部膨満を引き起こしやすいことが臨床的に知られています。

  

腸の動きが遅いと便が腸内に長く滞留し、腸内細菌のバランスが乱れるリスクが高まります。これはUCの症状や再燃に影響を与える可能性があります。

腸の炎症が甲状腺治療に影響することもある

UCなどで腸に炎症があると、甲状腺ホルモンの生成や働きに必要な鉄・亜鉛・セレンなどの微量ミネラルやタンパク質の吸収が低下します。

  

そのために、腸の状態が悪いと、同じ量の甲状腺ホルモンを服用しても「効きにくく感じる」ことが起こり得ます。こうしてさらに甲状腺機能が低下し、腸の働きも低下、炎症が起こりやすいといった悪循環が生まれる恐れがあります。

日常でできること(栄養・生活上の注意)

UCと甲状腺機能低下が重なる場合、次の点に注意しましょう。

 

■ 定期的な検査:TSHFT4、貧血(Hb)、フェリチン、亜鉛などをチェック 

■ 食事は消化に優しいものを中心にする(繊維質や脂っこいものを避ける) 

■ 甲状腺ホルモン薬の服用によって腸の働きが改善することが多いですが、状況に応じて、食事内容は管理栄養士に相談を  

■ 乳酸菌や食物繊維を組み合わせるシンバイオティクスによって腸内フローラを整えることが、甲状腺と腸の両方に好影響の可能性※

 

※研究は現在進行形で継続されています。消化機能が低下している時、炎症が起こりやすい時期には無理をしないようにしましょう。

まとめ

橋本病と潰瘍性大腸炎(UC)は併発しやすい傾向がありますが、個々の因果関係は未解明です。

 

甲状腺機能低下は腸の動きを遅らせ、腸疾患の症状に影響する可能性があります。その反対に腸の炎症は栄養吸収を妨げ、甲状腺治療の効果を左右することがあります。 

 

治療と併行しながら、日常生活ではバランスの良い食事、症状に応じて消化に良いものを選ぶことで腸への負担を減らしましょう。

参考文献

Kilby K, Mathias H, Boisvenue L, Heisler C, Jones JL. Micronutrient Absorption and Related Outcomes in People with Inflammatory Bowel Disease: A Review. Nutrients. 2019 Jun 20;11(6):1388. doi: 10.3390/nu11061388.

 

Xu GM, Hu MX, Li SY, Ran X, Zhang H, Ding XF. Thyroid disorders and gastrointestinal dysmotility: an old association. Front Physiol. 2024 May 2;15:1389113. doi: 10.3389/fphys.2024.1389113. 

 

Yang Y, Li J, Wang X, Ma J. Causal relationship between hypothyroidism and ulcerative colitis: a bidirectional Mendelian randomization study. BMC Gastroenterol. 2024 Oct 30;24(1):385. doi: 10.1186/s12876-024-03461-y.