「11月頃から昼間も眠い」「朝起きてもスッキリしない」——季節の変わり目になると、こうした相談が増えてきます。単なる“冬のせい”ではなく、生理学的な理由や、甲状腺ホルモンとの関係が隠れていることがあります。今回はなぜ眠気が増えるのか、その背景と対策をわかりやすくまとめます。
1. なぜ11月頃から日中の眠気が増えるのか?
① 日照時間の低下でメラトニンが増えやすい
11月は一気に日照時間が短くなるため、体内時計が乱れやすい時期です。
暗くなると増える「メラトニン」は睡眠ホルモンですが、日中の光量が少ないと朝になってもメラトニンが下がりにくいことがあります。その結果、日中でも眠気が抜けません。
② 自律神経が“冬モード”へ切り替わる際の乱れ
気温が下がると、体温を保つために自律神経が活発に働きます。この季節の変わり目の急激な変化に対応しきれずバランスが崩れると、体がだるく感じたり、ぼんやり感を感じやすくなります。
③ 身体がエネルギーを節約しようとする(冷えの影響)
冷えが強くなると、体は「熱を逃がさないこと」を最優先します。交感神経の働きで末梢への血流が減り、筋肉の代謝も落ちるため、疲労感や眠気につながります。
2. 眠気と甲状腺の関係
11月〜冬にかけては 甲状腺機能低下症(橋本病に伴う甲状腺機能低下を含む)にも気づきやすい季節です。その理由は2つあります。
① 代謝が落ちると「眠い・だるい」が最初に出る
甲状腺ホルモン(T3・T4)は全身の代謝を制御しています。
気温が下がる冬は本来、寒さに対して体温を一定に保とうとするために、甲状腺が活発になりますが、橋本病などでホルモンが十分に作れない場合、代謝が追いつきません。その結果、
- とにかく眠い
- だるい
- 朝起きられない
- 体重が増える
- 寒さが辛い
といった症状が目立ってきます。こういった症状は、治療が不要な潜在性甲状腺機能低下症の方でも起こる可能性があります。
② 日照時間の減少は甲状腺にも影響
光を浴びる時間が減ると、脳内ホルモン(セロトニン)が低下しやすく、この影響でTRH(甲状腺刺激ホルモンへの指令役)へも影響する可能性が指摘されています。
2. 今日からできる冬の眠気対策
① 朝は“できるだけ早く”光を浴びる
最も効果的なのは朝の太陽光を5〜10分浴びることです。
起床後1時間以内がベストで、メラトニンが速やかに切り替わり、日中の眠気が軽減します。
② 朝食を食べる
冬は代謝が落ちやすいため、朝のエネルギー補給がとても重要です。特に甲状腺機能が低下している方は、欠食や栄養不足によって眠気が強くなる恐れがあります。
卵や魚、大豆製品等の、タンパク質のおかずと、ご飯やオートミール等の適度な主食を取り入れ、栄養バランスを意識した食事をとりましょう。
③ 体を温める習慣を取り入れる
- シャワーより湯船へ
- 首・手首・足首を冷やさない
- 可能であれば軽い筋トレ(スクワット10回でもOK)
こういった体を温める対策をとり、自律神経の働きをサポートしましょう。
④ 昼食後は「軽い散歩」を挟む
冬は運動量が減るのも眠気の原因になります。
食後10分歩くだけでも血流が改善し、午後のパフォーマンスが上がります。
まとめ
冬の眠気は「季節の影響」だけではなく、
- 日照時間の低下
- 自律神経の変化
- 冷え・代謝低下
- 甲状腺ホルモンの不足
といった複数の要因が関わっています。
体調の変化をただの冬のせいにせず、「光・朝食・温め・軽い運動」という4つの対策を日常に取り入れることで、日中のパフォーマンスは大きく改善します。
そして症状が長引く場合は、甲状腺のチェックもぜひ検討してみてください。
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参考文献
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Tam AA, Fakı S, Demir P, Ozdemir D, Topaloglu O, Ersoy R, Cakir B. Coldness or Darkness? Which Places Greater Stress on the Thyroid? Seasonal Changes in Thyroid-Stimulating Hormone and Thyroid Hormones. J Clin Med. 2024 Nov 30;13(23):7293. doi: 10.3390/jcm13237293.






