
朝起きてもすっきりしない、日中に強い眠気がある、集中力が続かない──。
こうした症状は、単なる疲れではなく閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)が隠れている可能性があります。放置すると高血圧・心疾患・糖代謝の悪化など全身に影響するため、早期の気づきがとても大切です。
さらに近年、甲状腺疾患と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の関連 が注目されており、甲状腺機能の乱れが呼吸にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは
閉塞性睡眠時無呼吸症(以下OSA)とは、睡眠中に上気道の完全または部分的な閉塞が繰り返し起こり、睡眠中の呼吸が繰り返し減少または停止する状態のことを言います。最も一般的な睡眠時における呼吸関連障害です。
甲状腺機能低下症とOSA:なぜリスクが上がるのか?
米国の大規模調査では、甲状腺機能低下の人はそうでない方よりもOSAの診断を受ける確率が1.88倍高いという報告があります。
その主な原因は体重増加による肥満です。橋本病をはじめとする甲状腺機能低下症では代謝が落ち、体重増加やむくみが起こりやすくなります。これが首まわりの脂肪を増やし、上気道の閉塞を助長するため、OSAのリスクが高まると考えられます。
その他にも、甲状腺機能低下によるムコ多糖類(グリコサミノグリカン)の気道組織への沈着や狭窄、呼吸筋の機能低下や神経の調整機能の抑制などの可能性が考えられています。
甲状腺機能亢進症でもOSAリスクは上がる?
バセドウ病をはじめとする甲状腺機能亢進症自体は、一般に体重減少を伴うため、OSAのリスクは限られています。
ただ、亢進症でも食欲の増進によって体重が大幅に増える方や、抗甲状腺薬による治療開始後に体重が増加する方もいます。その場合、体重増加がOSAのリスク因子になり得ます。
ただし、現時点で 亢進症そのものとOSAの明確な関連を示す研究は少ないです。
甲状腺疾患のある人が知っておきたい睡眠時無呼吸の注意点
1. 双方向性の可能性:甲状腺もOSAも互いに影響し合う
従来は甲状腺機能低下がOSAを引き起こすという理解が中心でしたが、最近ではOSAによる夜間低酸素・炎症が甲状腺機能に影響する可能性も示されています。
つまり双方が悪循環を作るケースがあり、睡眠の質とホルモンバランスは密接に関係しているようです。
2. 甲状腺治療はOSA改善にもつながる場合がある
甲状腺ホルモン薬服用によって代謝が改善すると、気道のむくみが引き、呼吸が安定し、OSAが改善するケース も報告されています。
一方で甲状腺機能亢進症では、治療により代謝が低下し、体重が増加しやすくなるため、治療開始後にOSAが生じやすくなる場合があります。
3. 生活習慣はOSAの改善に大きく関与する
OSAは体重だけでなく生活習慣と強く関連しているため、甲状腺疾患があっても生活の工夫で改善できる部分があります。
特に重要なのは、
- 気道を圧迫しない体重維持
- 睡眠姿勢や寝具の見直し
- アルコール・喫煙のコントロール
など、呼吸を妨げない生活づくりです。
食生活でできる睡眠時無呼吸のセルフケア
甲状腺の治療に加えて、以下の食習慣がOSAの悪化予防に役立ちます。
● 食べ過ぎを防ぎ、就寝3時間前の食事は控える
満腹は横隔膜を押し上げ、呼吸が浅くなりやすくなります。
● 夜の高脂肪食を避ける
脂肪の多い料理は胃の滞留時間を延ばし、気道の圧迫につながることがあります。
● アルコールは寝る3~4時間前から控える
アルコールは上気道の筋肉をゆるめ、気道閉塞を強めます。お酒の飲み過ぎや、就寝直前の飲酒は避けましょう。
まとめ
甲状腺疾患と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、体重やむくみ、ホルモンバランスなど多くの要因を介して相互に影響します。
甲状腺ホルモンバランスを整え、体重管理を適切に行うことにより、OSAの症状を改善する可能性があります。
また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断されていない場合でも、「日中の眠気が強い」「朝起きても疲れている」などの症状がある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。
まとめ
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