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橋本病とセレンの関係|甲状腺機能低下症の症状と食事で不足を防ぐポイント

橋本病とセレンの関係、セレンが豊富に含まれる食品について
橋本病とセレンの関係、セレンが豊富に含まれる食品について

橋本病や甲状腺機能低下症を抱える方にとって、セレン(Seは重要なミネラルの1つです。セレンは甲状腺ホルモンの生成・変換に不可欠で、不足すると甲状腺機能低下を悪化させる可能性があります。 

 

この記事では、橋本病とセレンの関係、セレンが豊富な食品、不足や過剰摂取のリスク、2025年版食事摂取基準に基づく適切な量について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

セレンと甲状腺の深い関係とは?

甲状腺は首の付け根に位置し、代謝・エネルギー生産・体温調節などを担う甲状腺ホルモンを作っています。

  

セレンは、この甲状腺ホルモンの代謝に欠かせないミネラルで、甲状腺ホルモンの活性化酵素や甲状腺を酸化ストレスから守る抗酸化酵素の材料として欠かせません。橋本病をはじめとする慢性甲状腺炎では特に重要です。

 

橋本病は自己免疫が甲状腺を攻撃してしまう疾患ですが、セレンは「甲状腺の炎症と酸化ストレスの管理」に関わっており、研究でも注目されています。

セレン不足は甲状腺疾患のリスクを高める?

セレンが不足すると次のような影響が指摘されています。

  • 甲状腺ホルモンの生成・変換がうまくいかない
  • 免疫のバランスが崩れ、慢性甲状腺炎(橋本病)が悪化しやすい
  • TPO抗体や抗Tg抗体が高くなりやすい
  • 疲労感・倦怠感が出やすい

セレンは「不足」と同時に「過剰」にも注意

セレンは適量であれば甲状腺を守りますが、過剰摂取によっても毒性をもつミネラルです。

過剰によって次のような症状が現れます。 

  • 脱毛
  • 爪の変色・もろさ
  • 吐き気・腹痛
  • 皮膚症状
  • 神経症状

食事摂取基準(2025年版)におけるセレンの推奨量と耐容上限量

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人のセレンの推奨量及び耐容上限量は以下の通りです。

 

● 成人の推奨量

 

成人男性:3035µg/日

成人女性:25µg/日

 

妊娠中は+5μg、授乳中は+15㎍の付加量が加わります。

 

● 耐容上限量(UL

 

成人男性:400450µg/日

成人女性:350µg/日

 

推奨量:健康を維持するために不足がほとんどないとされる1日当たりの摂取量  

耐容上限量:習慣的にこれ以上の過剰摂取を続けることで、健康障害のリスクが高まると考えられる1日当たりの摂取量の上限

セレンが豊富に含まれる食品

適量のセレンは日常の食事から十分に摂ることができます。

特に以下の食品に豊富に含まれています。 

  • 魚介類(かつお、かつお節、まぐろ、ぶり、ホタテなど)
  • 肉類(鶏肉、豚肉、牛肉)
  • 全粒小麦
  • レバー※1
  • ブラジルナッツ※2 

肉や卵、全粒小麦を、通常のバランスの良い食事の中に取り入れることで、適量のセレンを摂取することができます。

 

1: レバーの常食はビタミンAの過剰摂取につながるため、おすすめできません。

2: ブラジルナッツは1粒で80100µgを超えることも多く、数粒で耐容上限量を超えるため常食はおすすめできません。過剰症例も報告されています。

 

また、サプリメントも上限量を超える例が多いため注意が必要です。

セレンが不足しやすい食生活とは?

日本の食生活ではセレンは欠乏しにくい栄養素ですが、次のようなパターンでは不足する可能性があります。 

  • 魚・肉をほとんど食べない
  • ファストフード・加工食品中心
  • 極端な低カロリー・ダイエット
  • 消化吸収障害のある疾患  

また、海外の内陸の国・地域での生活を送る場合は食品中のセレン含有量が低いことがあるため、注意が必要です。

橋本病の人にセレンのサプリは必要?

研究ではセレン補給により次のような結果が報告されています。 

  • TPO抗体・抗Tg抗体の低下
  • 甲状腺の炎症を抑える可能性
  • 疲労感の軽減が見られた例もある 

ただし…明確な改善効果はまだ確立しておらず、全員に効果があるわけではありません。過剰摂取によるリスクもあります。 

 

まずは、食生活の見直しを優先しましょう。

橋本病・甲状腺機能低下症の方への食事アドバイス

橋本病の方にとってセレンは重要ですが、基本は「食事からの摂取」で十分にまかなうことができます。

 

サプリメントやブラジルナッツといった、セレン含有量が極端に多いものに頼るのではなく、魚・肉・卵を「毎食少量ずつ」取り入れた、バランスの良い食事がセレン摂取のカギを握っています。

まとめ

セレンは橋本病の甲状腺を守る大切なミネラルであり、甲状腺ホルモンの代謝に欠かせません。食事で不足することは少ないですが、偏った食生活や、海外の内陸部での生活では不足の可能性もあります。

 

不足だけではなく、過剰摂取にも注意が必要な栄養素ですので、サプリメントに頼るのではなく、まずは食事からセレンを取り入れることを意識しましょう。

 

不安がある場合は、医師や管理栄養士に相談し、あなたの状況に合った摂取量を確認することが大切です。 

参考文献

厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf

 

Huwiler VV, Maissen-Abgottspon S, Stanga Z, Mühlebach S, Trepp R, Bally L, Bano A. Selenium Supplementation in Patients with Hashimoto Thyroiditis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. Thyroid. 2024 Mar;34(3):295-313. doi: 10.1089/thy.2023.0556. Epub 2024 Feb 16.

 

 

Kong XQ, Qiu GY, Yang ZB, Tan ZX, Quan XQ. Clinical efficacy of selenium supplementation in patients with Hashimoto thyroiditis: A systematic review and meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2023 May 19;102(20):e33791. doi: 10.1097/MD.0000000000033791.