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橋本病と妊娠や不妊について

甲状腺機能低下症と妊娠の関係

橋本病と妊娠や不妊について
橋本病と妊娠や不妊について

甲状腺ホルモンは新陳代謝を司るホルモンです。胎児の成長にも甲状腺ホルモンが関わっています。

 

甲状腺機能低下症や潜在性甲状腺機能低下症では、不妊や流産、初産、妊娠高血圧症候群等の合併症のリスクが高まることがわかっています。

 

そのために、妊娠を希望される場合は、妊娠前、妊娠中を通じて甲状腺ホルモン値を適切に管理しておく必要があります。

橋本病と妊娠について

橋本病は女性に多い自己免疫疾患です。橋本病の方は甲状腺の自己抗体を保持しています。橋本病は潜在性甲状腺機能低下症や甲状腺機能低下症の主な原因です。

 

潜在性甲状腺機能低下症や甲状腺機能低下症では妊娠時に前述のようなリスクが高まるため、妊娠を希望される方は、あらかじめ甲状腺の検査を受けておくと安心です。

 

血液検査で甲状腺ホルモン値や橋本病の自己抗体を簡単に検査することができます。

 

潜在性甲状腺機能低下症と妊娠

妊娠に最適な甲状腺ホルモン値とは
妊娠に最適な甲状腺ホルモン値とは

潜在性甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモン値は正常であるものの、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値が高い状態です。

 

自己抗体の影響で甲状腺ホルモンの合成力が低下しているため、刺激を増やすことで甲状腺ホルモン値を維持しています。

 

潜在性甲状腺機能低下症では自覚症状が乏しく、妊娠を希望しない場合は治療が不要な場合が多いのですが、妊娠を希望する場合は、TSHの値を厳密に管理します。

 

妊娠中は甲状腺ホルモンの需要が高まるため、米国甲状腺学会のガイドラインによると、妊娠を希望する場合はTSHの値を2.5μU/ml未満に調整するとあります。

 

妊娠を希望される方は、かかりつけの甲状腺専門医に相談しましょう。 

橋本病と妊活中及び妊娠中の食生活の基本

橋本病、甲状腺機能低下症の原因はさまざまですが、食生活もまた、甲状腺ホルモン値に大きな影響を与えています。とりわけ、ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となるため、ヨウ素の過不足は甲状腺ホルモン値に影響を与えます。

 

また、食事量が少ない又は多すぎる、あるいは、栄養バランスの極端に偏った食生活は、橋本病の自己抗体の有無に限らず、甲状腺機能を低下させます。

 

さらに、橋本病の場合も、食生活がTSHの値の上昇に影響を与えることが分かっています。

 

妊娠を希望される方は、TSHの値が重要になりますので、食生活における影響は減らしておいた方が良いでしょう。

 

特に、無理なダイエットは、橋本病に限らず甲状腺機能を低下させる原因となりますので、バランスの良い食生活を心がけましょう。

 


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参考文献

American Thyroid Association Task Force on Thyroid Hormone Replacement. Thyroid. 2014 Dec 1; 24(12): 1670–1751. doi: 10.1089/thy.2014.0028