
健康を意識する人の間で、ハーブティーの人気が高まっています。その中でも「カモミールティー」は、リラックス効果や抗炎症作用で知られ、自然療法として親しまれてきました。近年、カモミールティーと甲状腺疾患との関係に注目した調査も報告されています。
甲状腺疾患と飲み物の関連研究とは?
飲み物と健康の関係については、これまでにコーヒーや緑茶、紅茶などの研究が多数行われていますが、甲状腺疾患に特化した研究はまだ限られています。
そうした中、ギリシャ・アテネで、甲状腺疾患のある成人を対象に、日常的な飲み物の摂取と疾患リスクとの関係を調査した研究があります。この研究では、特にカモミールティー、セージティー、山茶の3種類が対象とされました。
カモミールティーの摂取と甲状腺疾患リスクの関係

調査結果によると、カモミールティーを定期的に飲んでいる人は、甲状腺がんを含む疾患リスクが有意に低下していたことが報告されました。特に、週2~6回程度の飲用を30年以上続けていた人において、リスク低下の傾向が顕著に見られたとされています。
ただし、因果関係の解釈には注意が必要
この研究結果は興味深いものの、飲み物と甲状腺疾患リスクの因果関係を直接示したものではありません。長期的な食生活や生活習慣、体調管理の違いも影響している可能性があります。
また、調査対象がギリシャ人であることから、人種や地域による生活習慣・体質の違いにも配慮する必要があります。そのため、他国・他地域において同様の結果が得られるかは、今後の研究を待つ必要があります。
カモミールティーに期待される作用とは?
ジャーマン・カモミールには以下のような働きがあるとされており、古くから健康維持や自然療法に利用されてきました:
- 抗炎症作用
- 鎮静作用(ストレス緩和・睡眠サポート)
- 胃腸の調子を整える作用
こうした作用が、甲状腺への慢性的な炎症やストレス軽減に関与している可能性も指摘されています。
キク科アレルギーの方は注意が必要
カモミールはキク科の植物に分類されるため、キク科アレルギーを持つ方は摂取に注意が必要です。アレルギー反応を引き起こすリスクがあるため、初めて飲む場合は少量から様子を見ることをおすすめします。
また、妊娠中や特定の薬を服用している方も、摂取前に医師に相談すると安心です。
まとめ|日常の飲み物の一つとして取り入れる選択肢
現時点では、カモミールティーが甲状腺疾患を直接予防・改善するとは断言できません。ただし、日々の飲み物の1つとして取り入れることは問題ないでしょう。
特にリラックス効果や抗炎症作用は、ストレスや慢性炎症と関わりやすい甲状腺の健康を支える可能性があります。気になる方は、まず日常の習慣に無理のない範囲で取り入れてみるのも良いかもしれません。
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参考文献
Elena Riza, Athena Linos, Athanassios Petralias, Luca de Martinis, Leonidas Duntas, Dimitrios Linos, The effect of Greek herbal tea consumption on thyroid cancer: a case-control study, European Journal of Public Health, Volume 25, Issue 6, December 2015, Pages 1001–1005.
厚生労働省|eJIM カモミール