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オリーブオイルの抗炎症作用

橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。この炎症の原因となるサイトカインの1つにIL-6があげられます。

 

今回はIL-6による炎症を抑制するオリーブオイルの効果について解説します。 

橋本病の炎症について
橋本病の炎症について

オリーブオイルの抗炎症作用

オリーブオイルにはオリオカンタールというポリフェノールが含まれています。オリオカンタールは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)イブプロフェンである風邪薬や頭痛・生理痛薬等と同様の効果があることが報告されています。

 

 

これが今回注目する抗炎症成分です。

オリオカンタールによる片頭痛軽減

橋本病では片頭痛を抱えている方が多く、NSAIDs頭痛薬を頻繁に服用していることがあります。しかし、頻繁な服用は胃腸粘膜を荒らしてしまうなどの副作用も懸念されます。

 

 

オリーブオイルを習慣的に取り入れることで、頭痛薬に代わって頭痛軽減効果が期待できる可能性があります。

炎症性サイトカインIL-6の抑制

 

オリーブオイルの主なポリフェノールであるオリオカンタールを習慣的に摂取することで、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の産生を阻害する可能性があると報告されています。

 

IL-6は関節リウマチや橋本病をはじめとする、慢性炎症性疾患によって引き起こされ、症状を悪化させる原因の1つです。

 

抗炎症作用のあるオリーブオイルを習慣的に食生活に取り入れてみましょう。 

オリーブオイルを取り入れる際の注意事項

  1. 鮮度の良いエクストラバージンオリーブオイルを選ぶ
  2. 食べ過ぎに注意
  3. 食事全体のバランスにも注意

 

抗炎症作用が期待できるのは「エクストラバージンオリーブオイル」です。

種類をしっかりと確認し、鮮度の良いうちに使い切りましょう。

 

また、オリーブオイルも油であることに変わりはありません。過剰摂取は肥満やその他の健康リスクの原因となります。

 

特に、消化不良を起こしやすい方は、オリーブオイルをとることで症状を悪化させる恐れがあります。その場合は油脂類の摂取量や選び方に注意が必要です。

 

まとめ

 バランスの良い食事のなかで、まずは1日に大さじ1杯までを目安に取り入れてみましょう。

  

 

なお、オリーブオイルを習慣的に取り入れることが必ずしも不調や橋本病の軽快につながるものではありません。橋本病の経過観察や治療と並行し、食生活全体の栄養バランスにも気を付けましょう。

参考文献

Ragusa F, Fallahi P, Elia G, et al. Hashimotos' thyroiditis: epidemiology, pathogenesis, clinic, and therapy. Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism. 2019;33(6):101367. doi: 10.1016/j.beem.2019.101367

 

Parkinson, L.; Keast, R. Oleocanthal, a Phenolic Derived from Virgin Olive Oil: A Review of the Beneficial Effects on Inflammatory Disease. Int. J. Mol. Sci. 201415, 12323-12334. https://doi.org/10.3390/ijms150712323