妊娠とヨウ素のこと
妊娠が分かったら強化すべき栄養素がいくつかあります。
ヨウ素は強化すべき栄養素の1つです。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料としても必要不可欠な栄養素ですので、今日はこちらのテーマで取り上げてみましょう。
ヨウ素は妊娠中に多く必要とする栄養素の1つであるものの、日本人は基本的にヨウ素は過剰摂取の傾向があります。
なぜなら、ヨウ素は海藻に非常に多く含まれており、また、必要量はごくわずかだからです。
妊娠中のヨウ素の不足は胎児の成長に悪影響を与えますが、過剰摂取もまた、母体の健康、胎児の成長に影響を与える恐れがあるため注意が必要です。
ヨウ素と橋本病
ヨウ素は海藻類に多く含まれる栄養素です。
その中でも、昆布にはとびぬけて多く含まれています。
毎日海藻を食べる方、昆布だしの効いたお味噌汁やお吸物等を頻繁に飲んでいる方は、確実にヨウ素を過剰に摂取しています。
ヨウ素過剰は橋本病を悪化させてしまいます。橋本病の方は海藻やヨウ素を含む食品の食べ過ぎに注意しましょう。
潜在性、橋本病の経過観察中の方もヨウ素を摂り過ぎると甲状腺に大きな負担をかけてしまいますので注意しましょう。
妊娠中に必要なヨウ素(ヨード)量
ところで、妊娠中に必要なヨウ素の量はどのくらいなのでしょうか?
ヨウ素含有量の多い昆布を例に確認してみましょう。
昆布をどのくらい食べたら妊娠中に必要なヨウ素を摂取できるのでしょうか?
次の3つから選んでみましょう。
1. チューインガム1枚分程度の大きさ
2. 文庫本程度の大きさ
3. nano sim 程度の大きさ
答えは3です。
毎日昆布を食べるのなら、一日に必要なヨウ素は昆布「nano sim 1枚サイズ」で足りてしまいます。
他の海藻であればヨウ素の含有量はもっと少なくなりますが、海藻を毎日食べるのは少し控え、週に2日程度にすると良いでしょう。
橋本病の方はヨウ素に過敏な反応を示します。必要以上の摂取を避けるため、医師や管理栄養士にどのくらいヨウ素を摂取して良いのか、必ず確認するようにしましょう。
参考文献
厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)