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橋本病、甲状腺機能低下症と糖尿病の関係について


橋本病、バセドウ病では、一型糖尿病及びⅡ型糖尿病の合併リスクがあります。ここでは、橋本病、甲状腺機能低下症と糖尿病の原因及び対策についてお伝えします。

橋本病、甲状腺機能低下症で糖尿病のリスクが高まる原因について


橋本病、甲状腺機能低下症で糖尿病のリスクが高まる原因について
橋本病、甲状腺機能低下症で糖尿病のリスクが高まる原因について

橋本病、甲状腺機能低下症の診断をきっかけにⅡ型糖尿病が見つかる方、その反対にⅡ型糖尿病の治療中に橋本病が見つかる方もいます。また、もともとⅡ型糖尿病のある方は、橋本病病によって糖尿病が悪化する恐れがあるために注意が必要です。

 

その原因は、甲状腺機能低下に伴い、インスリンの分泌が遅れるようになるためです。インスリンは血糖値を下げるホルモンであるため、甲状腺機能低下症では、食後の血糖値を十分に下げることができず、Ⅱ型糖尿病のリスクが高まります。

 

また、インスリン抵抗性も増大する恐れがあります。インスリン抵抗性とは、インスリンが分泌されても十分に作用しない状態のことで、このこともⅡ型糖尿病のリスクを高める原因となります。

経過観察中の橋本病(潜在性甲状腺機能低下症)と糖尿病


経過観察中の橋本病(潜在性甲状腺機能低下症)の方もインスリンの分泌が遅れるため、糖尿病のリスクに注意が必要です。

肥満や痩せとインスリン抵抗性の増大


肥満はインスリン抵抗性を増大させるリスクが高まりますが、最近ではやせ型の方でも隠れ肥満の場合はインスリン抵抗性を増大させ、Ⅱ型糖尿病のリスクが高まることが報告されています。

糖尿病リスクを下げるための3つの対策


  1. 糖質の過剰摂取に注意すること、食物繊維をしっかりとること、栄養バランスの良い食事をとることで、食後の血糖値上昇を緩やかに保ちましょう。
  2. 習慣的に運動を行いましょう。
  3. 痩せすぎや肥満に注意し、適正体重を維持することも大切です。

一型糖尿病と橋本病


一型糖尿病と橋本病やバセドウ病を併発する方は、一型糖尿病に見られる自己抗体の1つである抗GAD抗体(コンペンジウム抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体)の陽性率が高くなります。

参考文献


Chaker L, Bianco AC, Jonklaas J, Peeters RP. Hypothyroidism. Lancet. 2017 Sep 23;390(10101):1550-1562. doi: 10.1016/S0140-6736(17)30703-1. Epub 2017 Mar 20. 

 

Sato M, Tamura Y, Nakagata T, Someya Y, Kaga H, Yamasaki N, Kiya M, Kadowaki S, Sugimoto

D, Satoh H, Kawamori R, Watada H. Prevalence and Features of Impaired Glucose Tolerance in Young Underweight Japanese Women. J Clin Endocrinol Metab. 2021 Apr 23;106(5):e2053-e2062. doi: 10.1210/clinem/dgab052.