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橋本病と自己抗体:免疫系の混乱を招く自己免疫疾患

橋本病と自己抗体について
橋本病と自己抗体について

橋本病(または自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎とも呼ばれます)は甲状腺という臓器を攻撃する抗体が体内にできる自己免疫疾患です。甲状腺は代謝を調整するホルモンを分泌するため、橋本病が進行すると代謝が低下し、慢性的な疲労や眠気、体重の増加、冷え、うつ、記憶量の低下、肌の乾燥等の症状が現れます。抗体値や甲状腺ホルモン値等を検査することで、橋本病であるかどうかを調べることができます。

 

自己抗体とは?

まず、自己抗体とは何でしょうか?自己抗体は免疫系が身体の正常な組織や細胞を攻撃する異常な免疫反応の結果として生成される抗体のことです。通常、免疫系は外部からの異物や病原体を攻撃するために抗体を産生しますが、自己免疫疾患ではこのシステムが誤って自己組織を攻撃することがあります。

橋本病と自己抗体

橋本病では、甲状腺組織に対する攻撃が自己抗体によって引き起こされます。具体的には、甲状腺組織の一部である甲状腺ペルオキシダーゼと甲状腺グロブリンに対する自己抗体が生成されます。

 

抗甲状腺ペルオキシダーゼTPOAbと抗サイログロブリン抗体TgAbです。

 

これらの自己抗体は、甲状腺の正常な機能を妨げ、甲状腺ホルモンの産生や放出を抑制します。

橋本病の症状と診断

そんなに食べていないのに太るのは橋本病の症状の1つです
そんなに食べていないのに太るのは橋本病の症状の1つです

橋本病に気付いたきっかけとして、「食事量を増やしたわけではないのに急に太り始めた」というお話を伺うことがよくあります。

 

橋本病の症状は甲状腺の機能低下によるもので、顔や手足のむくみ、疲労感、体重増加、便秘、冷えなどが一般的です。また、甲状腺が腫れることもあります。診断は、血液検査によって自己抗体の存在と甲状腺関連のホルモン値の異常を確認することで行われます。

治療と管理

甲状腺ホルモンが正常な場合は、自己抗体が陽性であっても治療は必要ありません。経過観察のみになります。

甲状腺機能が低下した場合は、治療が必要になります。甲状腺ホルモンの補充療法を通じて症状を管理することができます。患者は定期的に医師の診察を受け、必要に応じて甲状腺ホルモン補充療法の調整を行います。

まとめ

橋本病は自己抗体によって引き起こされる自己免疫疾患であり、甲状腺組織に対する攻撃が甲状腺の機能低下を引き起こします。正確な診断と適切な治療計画によって、多くの患者が症状を管理し、健康な生活を送ることができます。治療経過は人それぞれですので、しっかりと専門的な知識を持った医師に診てもらうことが重要です。

 

さらに、食生活も生活の質向上に大きな影響を与えます。特に、微量ミネラルのヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる栄養素ですので、その過不足は甲状腺機能に直接影響を与えます。

 

食生活の改善は橋本病の管理において重要な要素の1つです。バランスのとれた食生活と生活リズムの改善は症状の軽減や病状の進行を遅らせるのに役立つことがよくあります。

 

管理栄養士のアドバイスを受け、健康的で不調の少ない生活を送りましょう。