バセドウ病は夏に悪化しやすく、熱中症や脱水症状のリスクが高まります。発汗量や不感蒸泄の増加による水分・ミネラル不足を防ぐための予防法について解説します。

なぜバセドウ病は夏に体調を崩しやすいのか
梅雨明けから夏にかけては、バセドウ病の方にとって体調管理が難しい季節です。
バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が活発になり、体温上昇・発汗量の増加が起こります。その結果、水分やミネラルが失われやすく、熱中症や脱水症のリスクが高くなります。
発汗だけでない“隠れた脱水”にも注意
さらに、汗をかいていないように見えても、呼吸や皮膚から気づかないうちに水分が失われる「不感蒸泄」も増加します。
治療で甲状腺ホルモン値が安定しても、この傾向が残る場合があります。
特に危険な時期
梅雨明け前後は、まだ体が暑さに慣れていないため、甲状腺に問題がない人でも熱中症が起こりやすい時期です。バセドウ病の方は、この時期から本格的な夏にかけて特に注意が必要です。
脱水症・熱中症を防ぐためのポイント

1. 高温多湿を避ける
エアコンや扇風機を活用し、涼しい環境を保ちましょう。
2. こまめな水分補給
一度に大量ではなく、少量を頻回に。外出時はミネラルウォーターや無糖茶を携帯。
3. ミネラル補給
汗からは塩分だけでなくカリウムなどのミネラルも失われます。野菜・きのこ類を日常的に取り入れましょう。
4. スポーツドリンクの日常的な摂取は避ける
市販のスポーツドリンクは糖質が多く、血糖上昇につながる可能性があります。水や無糖茶からの水分摂取を基本にしましょう。
5. 経口補水液は必要時のみ活用
軽い脱水症状(めまい・立ちくらみ・だるさなど)がある場合や、炎天下での活動後に短時間で水分・電解質を補給する際に有効です。 ただし常用は避けるべきです。経口補水液には糖分やナトリウムが多く含まれるため、日常的に飲むと血糖値や血圧に影響する可能性があります。症状がない時は水や無糖茶を基本にしましょう。
受診の目安
頭痛、吐き気、のぼせ、強い倦怠感などが出た場合は、脱水症や熱中症が進んでいる可能性があります。経口補水液で応急対応しつつ、速やかに医療機関を受診しましょう。
まとめ
バセドウ病では、代謝亢進によって汗や不感蒸泄による水分・ミネラルの損失が多く、夏は熱中症や脱水症状のリスクが高まります。
「涼しい環境」「こまめな水分・ミネラル補給」「経口補水液は必要時のみ」の3つを意識して、夏を安全に乗り切りましょう。