「バセドウ病は、薬で症状を抑えるしかないの? 完治しないの?」そんな不安を抱えている方も多いかもしれません。近年、バセドウ病の研究は大きく進歩しており、免疫そのものを整える新しい治療法にも注目が集まっています。
バセドウ病は「免疫の暴走」で起こる
バセドウ病では、本来は体を守るはずの免疫が、自分自身の甲状腺を刺激してしまいます。
その結果、
- 動悸
- 手の震え
- 強い疲労感
- 不眠
- イライラ
- 暑がり
- 体重減少
など、全身にさまざまな症状が現れます。
特に甲状腺ホルモンが過剰になると、体は常にエネルギーを大量消費する状態になります。つまり、普通に生活しているだけでも、体には大きな負担がかかっているのです。
免疫を「整える」新しい治療研究
現在のバセドウ病治療は、
- 抗甲状腺薬
- アイソトープ治療
- 手術
が中心です。
しかし最近は、「甲状腺ホルモン値を下げる」のではなく、病気の原因となる免疫異常そのものを調整しようという研究が進んでいます。
近年の論文では、
- B細胞に作用する抗体治療
- T細胞との異常な免疫反応を抑える治療
- TSH受容体への自己抗体をブロックする治療
- 甲状腺眼症に対する分子標的治療
などが紹介されています。こうした研究の一部は、すでに実際の医療現場でも使われ始めています。
バセドウ病の“根本治療”につながる可能性
2025年11月の日本の研究報告では、バセドウ病を起こしやすくしたマウスに対し、TSH受容体(TSH-R)の一部であるペプチドを、少量から徐々に増やして投与することで、バセドウ病特有の自己抗体(TRAb)が減少し、甲状腺ホルモン異常や甲状腺組織のダメージも抑えられたという報告がありました。
特に注目されたのが、「制御性T細胞(Treg)」という免疫のブレーキ役です。この細胞が増えることで、免疫の暴走が抑えられたと考えられています。
この特徴は、免疫全体を弱めるのではなく、「甲状腺への異常な反応だけ」を選択的に落ち着かせようとしている点です。まだ動物実験段階ではありますが、バセドウ病の根本治療につながる可能性が期待されています。
だからこそ大切な「栄養状態」
ただし、どんな新しい治療法でも、体そのものが疲弊していては回復力が落ちてしまいます。
免疫細胞も、ホルモンも、体の修復も、すべてエネルギーと栄養を使って行われています。
バセドウ病では代謝が過剰になるため、
- 筋肉の分解
- タンパク質不足
- ビタミン・ミネラル消耗
- 体重減少
- 慢性的な疲労
- 骨密度の低下
などが起こりやすくなります。
そのため、「太りたくないから」と極端に食事量を減らしたり、無理な糖質制限を行ったりすると、かえって回復力を低下させることがあります。
バセドウ病の食事で大切なこと
- 1日3食を基本にする
- 十分なエネルギーやタンパク質を確保する
- ビタミン・ミネラル不足を防ぐ
こういった基本がまずは大切です。
また近年は、「免疫」と「代謝」が密接に関係している“免疫代謝(immunometabolism)”という分野も注目されています。免疫細胞が正常に働くためにも、安定した栄養状態が必要だと考えられています。
まとめ
バセドウ病の研究は現在、大きく進歩しています。
どんな治療も栄養バランスの良い食事が重要であることに変わりはありません。適切な治療と併行し、食生活を見直しながら、身体の回復力を支えてあげましょう。
参考文献
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TEPEZZA® (teprotumumab) receives approval in Japan for the treatment of active thyroid eye disease. 2024.
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