アスリートは要注意?未治療の甲状腺機能低下症がパフォーマンスに影響する理由

アスリートに起こる甲状腺トラブルとは?
アスリートに起こる甲状腺トラブルとは?

アスリートの多くは「疲労感」「集中力の低下」「体重調整がうまくいかない」といった症状を、トレーニングの問題や栄養不足と捉えがちです。しかし、その背景に甲状腺機能の問題が潜んでいることがあります。一般集団では甲状腺疾患はとても一般的で、女性では特に多いことが知られています。アスリートに限った罹患率を示す大規模データはまだ十分ではありませんが、アスリートには甲状腺機能不全の“リスク因子”が揃いやすいことは複数の研究から分かっています。

1. アスリートは甲状腺トラブルを抱えやすい理由

① エネルギー不足が起こりやすい

高強度トレーニングを行うアスリートでは、必要エネルギー量に対して摂取量が追いつかない状態が生じやすいとされています。

  

エネルギー不足は甲状腺ホルモンT3の低下を引き起こし、代謝低下・疲労感・パフォーマンス低下につながることが示されています。

② 栄養不足

甲状腺ホルモンの生成や変換にはヨウ素・セレン・鉄・ビタミンDなどの各種栄養素を食事から取り入れる必要があります。

 

また、炭水化物は主要なエネルギー源となるため、不足は甲状腺ホルモンT3の低下のリスクを高めます。

 

これらの不足は一般人でも甲状腺機能不全を起こしますが、アスリートでは汗損失や過度な制限食により不足しやすく、特に女性アスリートで鉄欠乏は非常に一般的です。

③ 激しい運動による甲状腺ホルモンの一時的変化

高強度運動は甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモン(TSHT4T3)に一時的な変動を引き起こします。通常は生理的な一過性の変化ですが、栄養不足と重なると慢性的な低T3状態へ移行します。

2. 甲状腺機能低下がもたらすパフォーマンス面の問題

未治療の甲状腺疾患は、次のような“競技に直結する症状”を引き起こします。 

  • 疲労感、持久力低下
  • 体重が増えやすい、むくみ
  • 集中力の低下・反応速度の低下
  • 低体温、寒さに弱い
  • 貧血の併発
  • 回復力の低下 

これらはトレーニングの質を下げるだけでなく、怪我のリスクを高める可能性もあります。 

 

なかには、甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進の症状を引き起こす方もいます。この場合は、体重の減少や多汗といった症状が見られます。

3. 症状があるアスリートは一度「甲状腺検査」を

アスリートの疲労や不調は、トレーニング量や栄養の問題として片付けられがちです。しかし、甲状腺ホルモンは代謝の根幹であり、少しの異常でも影響が大きくなります。

 

休んでも疲れが抜けない、集中力が続かない、食事量は変わらないのに体重増加、生理不順といった症状が続く場合は、「甲状腺ホルモン検査(TSHFT4FT3)」がおすすめです。

 

一過性の甲状腺機能低下の場合もありますが、なかには自己免疫性甲状腺疾患が見つかるケースもあります。

  

早期発見、必要に応じて治療を受けることでパフォーマンスは大きく改善します。

まとめ

現状ではアスリートにおける甲状腺疾患という視点での大規模データは多くはありません。しかし、「アスリートは甲状腺の問題を抱えやすい環境にある」という点は現在のエビデンスから十分言えます。

 

食生活においては、

  • エネルギー不足
  • 微量栄養素不足
  • 女性は鉄欠乏 

などは、甲状腺機能低下のリスクを高める恐れがあります。 

 

「疲労がいつまでも抜けない」「調子が戻らない」「食事量は変わらないのに体重が増える、減る」といった症状がある場合は、ぜひ一度、甲状腺機能のチェックを検討してください。

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参考文献

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