2025年、ノーベル生理学・医学賞は「免疫が自分自身を攻撃しない仕組み」に関する研究で、日本人研究者を含む3名に授与されました。自己免疫疾患や甲状腺疾患の理解にも大きなヒントを与えています。
自己免疫とは?制御性T細胞の働き

私たちの免疫は、ウイルスや細菌から体を守りますが、時に自分の組織を攻撃してしまうことがあります。これが「自己免疫」です。
この暴走を抑えるのが「制御性T細胞(Treg細胞)」です。Treg細胞は免疫のブレーキ役で、正常に働くことで健康を維持します。機能が低下すると自己免疫疾患が発症します。
代表的な自己免疫性甲状腺疾患
①橋本病
免疫が甲状腺を攻撃しホルモンが不足
症状:疲労、冷え、むくみ、体重増加など
②バセドウ病
免疫が甲状腺を刺激しホルモン過剰
症状:動悸、不眠、体重減少、手の震えなど
どちらもTreg細胞の働きが十分でないことが背景にあります。
健康を支える食事の簡単なポイント
甲状腺と自己免疫を守るための食事の基本を確認してみましょう。
- 十分なたんぱく質を摂る(肉・魚・卵・大豆)
- 適度な炭水化物でエネルギーを補う(ご飯・芋・果物)
- 野菜や果物で抗酸化物質を取り入れる
日々の食事でこれらを意識するだけでも、免疫のバランスを助け、自己免疫疾患のリスクを下げることにつながります。
まとめ
ノーベル賞研究が示す通り、私たちの体には自己防衛の仕組みが備わっています。制御性T細胞の力を引き出すために、食事や生活習慣を整えることが健康への近道です。
参考文献
Guo J, Si G, Si F. Treg cells as a protective factor for Hashimoto`s thyroiditis: a Mendelian randomization study. Front Endocrinol (Lausanne). 2024 Mar 8;15:1347695. doi: 10.3389/fendo.2024.1347695.
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