
甲状腺疾患をお持ちの方は、「水分補給」にどのくらい気を配っていますか?
脱水は真夏だけの問題と思われがちですが、冬の乾燥やちょっとした体調変化でも起こります。特に、甲状腺の機能が乱れていると、水分バランスが崩れやすく、体調に大きな影響を与えます。
なぜ甲状腺疾患で水分管理が大切?
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、代謝が活発になり、汗をかく量が増えます。そのため、水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどのミネラル(電解質)も多く失われます。この状態が続くと、脱水やこむら返りを起こしやすくなります。
一方、甲状腺機能低下症(橋本病など)では、むくみが気になるからと水分を控えてしまう方もいます。しかし、これは逆効果です。水分不足は血流を悪化させ、便秘や倦怠感をさらに強めることがあります。
水分摂取の目安と脱水チェック
「どれくらい飲めばいいの?」という疑問があると思いますが、目安は1時間にコップ1杯(約200ml)です。喉が渇いたと感じる時点で、すでに軽い脱水が始まっていることもありますので、こまめな補給がポイントです。
また、次のようなサインもチェックしましょう。
- 日中、2〜3時間おきにトイレに行っていない
- 尿の色が濃い
この場合、水分が足りていない可能性があります。
何を飲む?スポーツドリンクは注意
基本は水・麦茶・無糖のお茶で水分補給をしましょう。
発汗が多い場合は電解質補給が必要ですが、甘いスポーツドリンクを常飲するのはおすすめできません。糖分を多く含む飲料は、血糖値の急上昇やカロリー過剰につながります。味噌汁や梅干し、野菜など食事で適度に補うのが安全です。
まとめ|小さな習慣で体調を守る
甲状腺疾患と水分補給は、体調に大きく関係します。日々の飲み方や選び方を少し工夫するだけで、不調を防ぐ一歩になります。
水分補給について、さらに詳しく知りたい方は、Podcast(音声配信)のエピソード4.「知らずに脱水?水分補給の正しいタイミングと量を徹底解説」で飲み方の工夫や実践例をお話ししています。以下のリンクより、お好きなプラットフォームにて聴くことができます。
本記事は一般的な目安です。個別の症状や併発疾患のある方は、主治医に飲水目安量についてご相談ください。
参考文献
Ross DS, et al. 2016 American Thyroid Association Guidelines for Diagnosis and Management of Hyperthyroidism. Thyroid, 2016.
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版).