
ゴールデンウィークが終わったころから、「なんとなく眠りが浅い」「寝つきが悪い」と感じている方もいるのでは? 5月から6月の上旬頃までは日照時間の急激な変化や気温差、新しい環境によるストレスが重なり、自律神経のバランスが乱れ、睡眠のリズムにも影響が出やすくなります。こうした不調を俗に「5月病」と呼ぶこともあります。
実は、甲状腺ホルモンも体のリズムを支える重要な存在。T3やT4といった甲状腺ホルモンは、脳や自律神経に作用して、体温や代謝、覚醒・睡眠の切り替えをサポートしています。甲状腺機能が低下している方は、春から初夏にかけての変化に敏感で、特に睡眠の質が下がりやすくなることがあります。
そこで今回は、季節の変わり目に眠りを守るための「食事と栄養」のポイントをご紹介します。
睡眠ホルモン・メラトニンをつくる材料を朝と昼に
質のよい眠りには、夜に「メラトニン」というホルモンがしっかり分泌されることが必要です。メラトニンの材料になるのは、トリプトファンというアミノ酸。日中にこれをしっかり摂ることで、体は自然に「夜になると眠くなる」リズムをつくりやすくなります。
トリプトファンが多い食品

卵、納豆、豆腐、牛乳、鶏むね肉、かつおなどにトリプトファンは豊富に含まれています。
さらに、このトリプトファンをメラトニンに変えるには、ビタミンB6やマグネシウムなどが必要です。バナナ、鮭、アーモンド、ほうれん草などからとることができます。
夜は「血糖値を安定させる」食事を意識
夜に甘いものや炭水化物の多い食事をとると、血糖値が急上昇し、その後の急降下によって夜中に目が覚めやすくなり、その後眠れなくなることも。
また、脂っこい食事やアルコールも、眠りを浅くする原因になってしまいます。
睡眠の質の悪いときには、夕食の食べ過ぎや、ご飯のおかわり、食後のデザート、飲酒を控え、消化の良い食材を中心に、やや軽めに済ませるのがポイントです。
食事の時間を一定に保つことも大事
睡眠リズムを整えるためには、「毎日同じ時間に食事をとる」ことも大切です。特に朝食は、体内時計をリセットし、日中の活動をスムーズにする重要な役割を担っています。
眠れないから朝の食欲がない、朝食を抜くから夜にお腹が空きすぎて夕食が重くなってしまう、こういった悪循環は睡眠の質をますます低下させてしまいますので、注意しましょう。
睡眠の質を上げるための日常生活での工夫
食生活の見直しと同時に、日常生活のなかでできる、睡眠の質を上げる工夫をご紹介します。
日照時間の変化と体内時計の乱れへの対策
5月は日が長くなり、明るい時間帯が増えます。特に夕方以降が明るいとメラトニンの分泌が遅れ、寝つきが悪くなることがあります。
カーテンからの光や夜のスマホ・テレビなどによって、体内時計がさらに後ろにずれてしまうと、「睡眠相後退」(夜型化)が起きやすくなります。
まずは朝に明るい日の光を浴びること、夜は照明を落とし、スマホやテレビ、PCを早めに閉じることも大切です。
寒暖差と自律神経の乱れへの対策
5月は日中と朝晩の気温差が大きく、服装や空調の調節が難しい季節です。この寒暖差により自律神経が乱れると、入眠に必要なリラックスモード(副交感神経優位)に切り替えが上手くいかなくなり、眠れなくなってしまいます。
Tシャツや上着などを重ね着し、体温調整がしやすい服装を心がけましょう。
まとめ
5月から6月にかけ、心も体も知らず知らずのうちに負担がかかってしまいます。眠れないときは、「食べ方」や「栄養バランス」に少し目を向けてみてください。リズムを整える食事が、皆さまの毎日の眠りをやさしくサポートしてくれるでしょう。