· 

花粉症でバセドウ病が悪化

バセドウ病は自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンの合成や分泌の過剰となる自己免疫疾患です。花粉症のようなアレルギー反応が起こると免疫系が刺激され、バセドウ病が悪化したり、寛解後に再発する場合があります。

花粉症がバセドウ病を悪化させる仕組み


バセドウ病と花粉症。一見すると全く関係がないように見えますが、花粉症がバセドウ病を悪化させたり、寛解後の再発のきっかけとなる恐れがあります。

 

なぜなら、バセドウ病とアレルギーは免疫システムの反応が共通しているためです。アレルギー反応そのものがバセドウ病の直接的な原因になるわけではありません。しかし、アレルギー反応が起こると、免疫系の過剰な反応が起こり、これにつられるようにして自己抗体による甲状腺への刺激が大きくなり、バセドウ病が悪化してしまうと考えられています。

花粉症によってTRAbやfT4が増える


花粉症やアレルギーでバセドウ病が悪化する
花粉症やアレルギーでバセドウ病が悪化する

 

アレルギー症状で多くの方が悩まされているスギ花粉。スギ花粉による花粉症は3月頃にピークを迎えますが、その後、バセドウ病のTSH受容体抗体(TRAb)や甲状腺ホルモン(fT4)が増える方が多くいるという報告があります。

 

花粉症対策をとりましょう


バセドウ病に影響を与えないように、バセドウ病治療中の方やバセドウ病寛解後の方で花粉症の方は、マスクをしたり抗ヒスタミン薬を服用する等して、十分な花粉症対策をとりましょう。

 

また、花粉症のピーク時期の後に甲状腺ホルモン値を検査しておくと良いでしょう。

 

バセドウ病と診断されたことのない花粉症の方でも、5月、6月頃になって食欲が増える、体重が減る、動悸や息切れ、不眠などの症状が現れた場合、バセドウ病を発症している恐れがあります。心当たりのある方は甲状腺ホルモンの検査をおすすめします。

花粉症の影響がない場合もある


バセドウ病の原因はさまざまです。ですから、バセドウ病で花粉症の症状がある方でも、必ずしもこれらが相互に影響を与え合うわけではありません。

 

また、花粉症がバセドウ病に影響を与える場合の詳細の仕組みについて、現段階では解明されていません。

花粉症対策と食事


栄養バランスの良い食事は、免疫系に良い影響を与えます。花粉症やバセドウ病のどちらの対策としても、偏食を避け、1日3食バランスの良い食事をとりましょう。

参考文献


日本内科学会「 甲状腺疾患の治療・診断と憎悪因子」2001