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橋本病と鉄欠乏性貧血

橋本病と貧血の関係について
橋本病と貧血の関係について

橋本病や潜在性甲状腺機能低下症、甲状腺機能低下症の方の4060%に貧血が見られるという報告があります。これは、甲状腺ホルモンが全身の代謝を調整しているため、その働きが低下すると造血にも影響が出るためです。症状や対策についてわかりやすく解説します。

甲状腺機能低下症による貧血の特徴

甲状腺ホルモンの分泌が不足すると、骨髄での赤血球産生が減少し、貧血の原因となることがあります。

 

このようなタイプの貧血は、甲状腺ホルモン薬の服用によって改善するケースもあるため、早期の診断と治療が重要です。

橋本病と鉄欠乏性貧血の関係

甲状腺機能が低下すると、鉄の吸収率や利用効率が落ちることが知られています。さらに、橋本病の女性に多い過多月経によって鉄が失われやすくなり、鉄欠乏性貧血を引き起こすリスクが高まります。

鉄欠乏性貧血の主な症状

鉄欠乏性貧血では、次のような症状が見られます: 

  • 慢性的な疲労感
  • 頭痛やめまい
  • 動悸や息切れ
  • 氷を無性に食べたくなる「氷食症」
  • 抑うつ気分や集中力の低下 

 これらの症状は、日常生活に支障をきたすレベルになることもあるため、見逃さないことが大切です。

橋本病の貧血対策:鉄分の補給を意識しよう

血液検査で鉄欠乏性貧血と診断された場合は、医師の指導のもとで鉄剤を服用するのが基本です。

  

明確な診断が出ていない場合でも、普段の食事から鉄をしっかり摂ることが予防の第一歩になります。

食事で摂りたい鉄分を多く含む食品

  • 赤身の肉(牛・豚の赤身)
  • レバー類
  • あさりやしじみなどの貝類
  • 小松菜、ほうれん草
  • 大豆製品(納豆・豆腐)
  • 鉄強化シリアル、食品など 

ビタミンCを一緒に摂ると、非ヘム鉄(植物性の鉄)の吸収率が上がるため、野菜や果物と組み合わせると効果的です。

まとめ

橋本病や甲状腺機能低下症と貧血は密接に関係しています。

 

原因が甲状腺ホルモンの不足によるものか、鉄欠乏によるものかを明確にするためにも、定期的な血液検査と食事管理が重要です。

  

「疲れやすい」「氷が食べたくなる」などの症状に心当たりがある方は、早めに医師に相談しましょう。

参考文献

Erdogan M, Kösenli A, Ganidagli S, Kulaksizoglu M. Characteristics of anemia in subclinical and overt hypothyroid patients. Endocr J. 2012;59(3):213-20. doi: 10.1507/endocrj.ej11-0096. Epub 2011 Dec 27. Erratum in: Endocr J. 2013;60(4):541. Mehmet, Erdogan [corrected to Erdogan, Mehmet]; Aybike, Kosenli [corrected to Kösenli, Aybike]; Mustafa, Kulaksizoglu [corrected to Kulaksizoglu, Mustafa].