橋本病と胃腸の不調

橋本病の方は胃腸の不調を感じる方が多くいます。
食事が飲み込みにくい、胸やけ、消化不良、吐き気、腹部膨満感等が代表的なものです。また、腸のぜん動運動がゆっくりになるため、便秘に悩まされるケースもあります。
胃腸の働きは栄養の吸収にも大きな影響を与えるため、橋本病によるさまざまな栄養不足を解消するためには、胃腸の働きの改善は重要な課題の1つです。
チラージン(甲状腺ホルモン薬)の服用により、甲状腺ホルモン値を安定的に保つことで、胃腸の不調が解消されていきます。ところが、便秘については、なかなか回復されない方も多くいます。
お通じの改善のために、マグネシウム剤をはじめとする便秘薬を処方されることもありますが、継続的に使用すれば次第に効き目が悪くなることがしばしばあります。
お通じ改善には水溶性食物繊維と発酵性食物繊維を

便秘の改善には、食物繊維が豊富な食品の積極的な摂取がおすすめです。
ところが橋本病の方の多くは、食物繊維をとることで、かえって便秘を悪化させてしまうこともあります。
特に、不溶性食物繊維の過剰摂取は便秘を悪化させやすいために注意が必要です。
食品中には水溶性食物繊維だけでなく、不溶性食物繊維も必ず含まれています。まずは水溶性食物繊維が豊富な野菜をたっぷりと食べましょう。
水溶性食物繊維は、山芋、オクラ、アシタバ、アボカド、モロヘイヤ、春菊、納豆などに多く含まれています。
不溶性食物繊維の中には「発酵性食物繊維」と呼ばれ、腸内で発酵することによって、お通じを整えるタイプの食物繊維があります。発酵性食物繊維は、玄米や大麦、全粒小麦、オートミール等に多く含まれています。

オートミールは水溶性食物繊維や発酵性食物繊維が豊富な食品の1つです。橋本病の方の中には、オートミールを試してみたものの、かって便秘が悪化したという方もいらっしゃいます。
こちらは橋本病の栄養カウンセリングでご好評のプレバイオティクス・オートミールです。オーガニックのオートミールに発酵性食物繊維をさらに強化配合しています。発酵性食物繊維を増やすことで腸に大きな負担をかけず、腸内環境やお通じの改善効果を期待することができます。
発酵性食物繊維の優れた点は、多くの種類のお通じのトラブル改善効果があるという点です。
これまで色々な食品を試してきて、何がご自身のお通じの改善に役立つのか良く分からないという方は、まずは発酵性食物繊維を取り入れた食生活を送ってみましょう。
不眠や気分の落ちこみの緩和にも腸内環境の改善を
便秘は単に不快感だけではなく、腸内環境の悪化や食欲の低下を招いてしまいます。
また、「腸脳相関」と言い、腸内環境は脳の作用に直結することが分かっています。便秘や腸内環境の悪化は気分の落ちこみや集中力の低下、不眠などの症状に直接的に関与しています。
不快症状の緩和、腸内環境の改善、脳への悪影響の改善、栄養の吸収効率アップのためにも、水溶性食物繊維や発酵性食物繊維を食生活に取り入れ、お通じを整えていきましょう。
参考文献
Ebert, Ellen C. MD. The Thyroid and the Gut. J Clin Gastroenterol. 2010 Jul;44(6):402-6. doi: 10.1097/MCG.0b013e3181d6bc3e.