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非アルコール性脂肪肝と甲状腺疾患


非アルコール性脂肪肝と甲状腺疾患


©Apointy 非アルコール性脂肪肝と甲状腺疾患
©Apointy 非アルコール性脂肪肝と甲状腺疾患

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は、もっと多くの方が発症しやすい肝疾患です。

 

非アルコール性脂肪肝を発症する方は年々増加傾向にあります。

 

甲状腺疾患の方は、代謝の影響によって非アルコール性脂肪肝の発症リスクが高いことが報告されているため、甲状腺疾患でない方よりも食生活に十分な注意が必要です。

 

脂肪肝とは肝臓に脂肪がたまった「肝臓の肥満状態」を示します。

 

脂肪肝になってしまうと肝臓の中に脂肪粒が点在し、肝臓は肥大し、次第に炎症を起こすようになってしまいます。これに伴い、Ⅱ型糖尿病や動脈硬化等のリスクも大幅に高まります。また、肝炎や肝硬変、肝がん等のリスクが高まる方もいます。

 


脂肪肝の自覚症状


甲状腺疾患と脂肪肝の不調は重複するため区別がつきにくいのです
甲状腺疾患と脂肪肝の不調は重複するため区別がつきにくいのです

 

脂肪肝は自覚症状がまったく出ない方も多くいます。

 

ただし、脂肪肝になると疲労感や肩こり等を自覚される方もいらっしゃるようです。

 

これらの症状は甲状腺疾患の方にとっては日常的に自覚されている方も多いでしょう。そのために、これらの不調から脂肪肝かどうかを判断することは困難です。

 

 

 

 

 

 


脂肪肝を招く習慣


 

 脂肪肝は食生活の影響を大きく受けています。次のような食生活は脂肪肝の原因となります。

  • 糖質の過剰摂取
  • 脂質の過剰摂取
  • 運動不足
  • 飲酒

 脂肪肝は飲酒(アルコール摂取)によって起こる「アルコール性脂肪肝」とそれ以外の食習慣で起こる「非アルコール性脂肪肝」の2種類があります。(これ以外に原因があることもあります)

 

甲状腺疾患の方が注意しなければならないのは、飲酒習慣がなくても起こる非アルコール性の脂肪肝です。※

 

非アルコール性の脂肪肝は、糖質や脂質の過剰摂取が大きな原因の1つです。特に果糖や砂糖を多く摂取している方に発症しやすいという特徴があります。また、運動不足の方はエネルギーの消費量が低下しているため、運動不足と糖質や脂質の過剰摂取が重なることによって、さらに脂肪肝を発症しやすくなります。

   

※飲酒習慣のある方は、飲酒とそれ以外の要因の双方が原因となり、脂肪肝のリスクを高めてしまいますので、より注意が必要です。

 


橋本病・甲状腺機能低下症と脂肪肝


 

橋本病・甲状腺機能低下症の方は、甲状腺機能が糖質や脂質代謝にも影響を与えるため、脂肪肝のリスクが高まることが報告されています。

 


バセドウ病・甲状腺機能亢進症と脂肪肝


 

バセドウ病の方は服薬治療によって甲状腺機能が低下し、その結果、甲状腺機能低下症の方と同様に脂肪肝のリスクが高まります。

 

甲状腺のアイソトープ治療や外科的切除をされた方も甲状腺機能が抑制されることにより、脂肪肝のリスクが高まると考えられます。

 

さらに、バセドウ病・甲状腺機能亢進症においては、相対的な栄養不足によっても脂肪肝のリスクが高まります。これについては後述しています。

 


潜在性甲状腺機能低下症と脂肪肝


 

潜在性甲状腺機能低下症・橋本病の疑いの方も脂肪肝を発症しやすいことが報告されています。自覚症状がなくても、食生活の見直しをしましょう。

  


脂肪肝を予防する食生活


©Apointy 脂肪肝を予防する食生活
©Apointy 脂肪肝を予防する食生活

 

脂肪肝を予防するためには、糖質や脂質の過剰摂取に注意することが重要です。

 

特に、果糖や砂糖の過剰摂取をしている方はこれらを控えることで脂肪肝の改善に大きな効果を発揮します。

 

ただ、「糖質や脂質制限」によって脂肪肝を予防できる方は、これまでに糖質や脂質を過剰摂取をしてきた方です。

  

 

糖質や脂質を適度に減らしながら、運動も並行して行うことで、体力を維持しながら脂肪肝を改善していきましょう。

 

過剰摂取による脂肪肝に対し、食事量が足りていない方も栄養不足によって脂肪肝が起こります

 

この場合は脂肪肝の原因が栄養不足であるために、これ以上に糖質や脂質の摂取量を減らしては、かえって逆効果になってしまう恐れがあります。

 


バセドウ病の脂肪肝と食生活注意事項


バセドウ病の脂肪肝と食生活注意事項
バセドウ病の脂肪肝と食生活注意事項

 

栄養不足による脂肪肝はバセドウ病・甲状腺機能亢進症の方に起こりやすい脂肪肝です。

 

甲状腺機能の亢進によって、体重が大幅に減少した方は、栄養不足になっています。そのために、脂肪肝が起こりやすいのです。

 

バセドウ病の方は、これまでの栄養不足を考慮しながら、糖質や脂質の減らし過ぎには十分な注意が必要です。その上で、過剰摂取を避けましょう。

 

バセドウ病の治療中は、多くの場合、体重が増加していきます。この際、食事を減らし過ぎてしまうと脂肪肝を招く恐れがありますので注意しましょう。

 


脂肪肝対策のための糖質や脂質の選び方


 

糖質や脂質はただ減らすだけではなく、できるだけ質の良いものを選びましょう。

 

第一に、果糖や砂糖の摂取を控えましょう

 

糖質は全粒穀類、脂質はオメガ3を含む必須脂肪酸を中心に摂取しましょう。

 


飲み物が脂肪肝を招きやすい?


脂肪肝を招く果糖入り飲料
脂肪肝を招く果糖入り飲料

脂肪肝対策はダイエットの近道


脂肪肝対策はダイエットの近道です
脂肪肝対策はダイエットの近道です

 

脂肪肝が解消されると、今度は内臓脂肪や皮下脂肪の燃焼が行われやすくなります。

 

過体重や肥満で体重を減らしたい方は、まずは脂肪肝対策をしましょう。

 

 


参考文献


  • 厚生労働省 e-ヘルスネット:脂肪肝
  • Zegi Guo et al. Association of non-alcoholic fatty liver disease with thyroid function: A systematic review and meta-analysis, Dig Liver Dis . 2018 Nov;50(11):1153-1162.  doi: 10.1016/j.dld.2018.08.012. Epub 2018 Aug 23
  • WHO, Taxes on sugary drinks: Why do it?

(2020年8月29日参照)