
甲状腺疾患を発症すると脱毛を自覚することがあります。なかには脱毛がきっかけで甲状腺疾患の診断に結び付く方もいらっしゃるでしょう。
甲状腺ホルモンの正常な働きには亜鉛が必要不可欠です。脱毛は亜鉛欠乏症の主な症状です。
脱毛は外観上にも大きな変化を与え、気分の落ち込みにもつながってしまいますので早めにできるだけ対策をたてたいものです。
甲状腺疾患を発症された方は、次の様なきっかけで亜鉛欠乏症が起こる恐れがあります。
バセドウ病や橋本病の亜鉛欠乏症の原因
バセドウ病や橋本病の方は次のような原因で亜鉛欠乏症が起こる恐れがあります。
- 甲状腺疾患が未治療である場合
- 甲状腺疾患の治療中に甲状腺ホルモンが不安定な時期
- 食事中の亜鉛が不足している時
- 胃腸の調子が悪く、栄養の吸収力が落ちている時

1.甲状腺疾患が未治療である場合
甲状腺疾患の治療が未治療の段階では亜鉛が仲介す代謝が上手く進まないために、亜鉛欠乏症の症状が出る可能性があるでしょう。
2. 甲状腺疾患の治療中に甲状腺ホルモンが不安定な時期
甲状腺ホルモンが不安定な時期も同様に亜鉛が仲介す代謝が上手く進まないために、亜鉛欠乏症の症状が出る可能性があるでしょう。
3. 食事中の亜鉛が不足している時
食事中の亜鉛が不足している場合も亜鉛欠乏症が起こります。甲状腺疾患によって体重が増えてしまった方が食事量を減らすダイエットを実践すると亜鉛欠乏症になることがあります。
4. 胃腸の調子が悪く、栄養の吸収力が落ちている時
胃腸の調子が悪い時も栄養の吸収力が低下し、亜鉛欠乏症のリスクが高まります。お通じがしっかりとあるかどうかも、栄養の吸収力の目安となります。
甲状腺疾患による亜鉛欠乏症の解決案は?
甲状腺疾患による亜鉛欠乏症はどのような対策をとったら良いのでしょうか?
対策①
甲状腺ホルモンが原因の場合は、甲状腺疾患の治療を受けることで亜鉛欠乏症は改善されていきます。
対策②
甲状腺ホルモンが正常化してきた段階で、亜鉛がしっかりと代謝に活用されるように、日頃から意識して亜鉛が含まれる食品を摂取しておくことが大切です。
対策③
胃腸の調子が悪い時は脂っこいものを避け、消化に良いものと亜鉛が含まれるバランスの良い食事を組み合わせて食べる様にしましょう。
また、お通じを整える腸活も有効です。

亜鉛欠乏症対策のまとめ
栄養欠乏症のための食事療法は症状が出てから行うものだと考えている方も多いかもしれません。
しかし、甲状腺疾患の方は治療中にも甲状腺ホルモンのバランスが変わりやすいため、栄養欠乏症の症状が出てから対策をたてるのでは、欠乏症を改善するチャンスを逃してしまう恐れがあります。
脱毛の自覚症状がなくても、亜鉛は甲状腺ホルモンの正常な働きに必要不可欠なミネラルですので、多くの不調改善のためにも常に意識的な摂取が必要です。
参考文献
- 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2015年版) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html
- WHO Vitamin and mineral requirements in human nutrition, Second edition