
橋本病は甲状腺に自己抗体ができる自己免疫疾患です。甲状腺ホルモンの分泌が低下し、基礎代謝が低下することがあります。この結果、食事量が変わらなくても体重が増えやすくなることがあります。しかし、すべての橋本病の方の体重が増加するわけではなく、体重が減少する場合もあります。
橋本病の症状と体重増加の原因
橋本病による体重増加の主な原因は、甲状腺機能の低下による基礎代謝の低下です。これにより、エネルギー消費が減り、体重が増えやすくなります。加えて、寒がり、肌の乾燥、むくみなどの症状が現れることもあります。
また、慢性的な炎症やストレスによって体重増加を引き起こすこともあります。
体重管理のための4つの対策
橋本病による体重増加を防ぐためには、以下の4つの対策が重要です。
対策① 甲状腺治療
甲状腺ホルモンが極端に低下している場合、ホルモン補充が必要です。チラージンS®などの薬でホルモンレベルを正常化し、基礎代謝を回復させることで、体重の適切な管理が可能になります。ただし、すべての患者が治療を必要とするわけではなく、軽度の場合は経過観察が中心となります。
対策② 食事療法
食事療法では、以下のポイントに気をつけましょう。
ヨウ素(ヨード)の過剰摂取を避ける:
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料ですが、過剰摂取は甲状腺機能低下を引き起こす可能性があります。特に昆布や昆布だしには多く含まれているため、摂取量に注意が必要です。
食事量の調整:
食べ過ぎや運動不足が原因で体重が増えることがあります。逆に食事量を減らしすぎると栄養不足になり、代謝が低下してさらに太りやすくなります。適切な食事量を守り、運動とバランスを取ることが大切です。
栄養バランスを意識する:
カロリー制限だけではなく、ビタミンやミネラルも重要です。お菓子や加工食品ばかりではなく、肉や魚、野菜をバランスよく摂取することで、代謝をサポートします。
対策③ 運動
適度な運動も体重管理に効果的です。ウォーキングや軽い体幹トレーニングなど、自分のペースでできる運動を取り入れましょう。運動は基礎代謝を活性化し、体重増加を防ぐ助けになります。
対策④ ストレス管理と生活習慣
ストレスも甲状腺機能に影響を与えるため、リラックス法や趣味の時間を持つことが重要です。
また、規則正しい睡眠や休息も体調管理には欠かせません。慢性的なストレスが甲状腺の状態を悪化させ、体重管理にも影響を与えることがあります。
まとめ
橋本病では、甲状腺ホルモンの低下により基礎代謝が低下し、体重が増えやすくなります。食事量の過剰や不足はどちらも体重増加を引き起こすため、バランスの取れた食事と適度な運動が重要です。また、慢性的な炎症やストレスの管理も体重管理に関与します。橋本病が疑われる場合は、甲状腺ホルモン値や自己抗体を調べ、甲状腺機能が低下している場合は、適切な治療を受けることが大切です。健康的な生活習慣を維持し、体重を適切に管理しましょう。