
いつもの食事量なのに太りやすくなったと感じることはありませんか?それは橋本病の影響かもしれません。
ここでは、橋本病ではなぜ太りやすいのか、太らないためにはどのような対策をとれば良いのかについてまとめています。
橋本病で太る原因
甲状腺ホルモンは代謝を調整するホルモンであるため、橋本病によって甲状腺機能低下すると、基礎代謝が低下し、太りやすくなることがあります。なかには食事量を減らしているにも関わらず、体重が増えてしまうこともあります。ただ、やせ型の橋本病の方もおり、すべての方が太るわけではありません。
橋本病では、体重が増加するだけでなく、その他にも、代謝の低下によって寒がりになったり、肌が乾燥したり、むくみやすくなるなど、さまざまな症状が現れます。
太らないための対策
橋本病による体重増加を防ぐためにはどのような対策をとれば良いのでしょうか。対策は大きく分けて3つあります。1つは橋本病の治療、2つめは食事療法(ヨウ素量の見直し、食事量の調整、栄養バランスを意識)、3つ目は運動です。詳しくみてみましょう。
橋本病の治療
甲状腺機能が著しく低下している場合は、甲状腺ホルモンの補充が必要です。チラージンS®という甲状腺ホルモンを内服することで、甲状腺ホルモン値正常化に伴い基礎代謝も回復するため、体重の適切な調整につなげることができます。
ただ、橋本病全ての方に内服療法が必要なわけではありません。「潜在性」や「経過観察中」の橋本病の方は治療は不要で、経過観察のみになります。このような場合は、食事療法と運動が対策の中心になります。
続いて食事療法についてみてみましょう。
食事療法その1. ヨウ素(ヨード)の過剰摂取に注意
「ヨウ素(ヨード)」は甲状腺ホルモンの材料となる微量ミネラルで、食事からの摂取が必要不可欠です。
ヨウ素を日常的に過剰摂取している場合、甲状腺機能低下を招く恐れがあります。
ヨウ素は海藻類に主に含まれ、なかでも昆布にはとりわけ多くのヨウ素が含まれています。毎日昆布や昆布出汁の味噌汁を飲む方はヨウ素を過剰に摂取しています。
ヨウ素の過剰摂取に注意することは甲状腺機能低下による体重増加予防対策につながると考えられます。
食事療法その2. 食事量の調整
体重増加の原因は必ずしも甲状腺機能低下によるものではありません。甲状腺機能低下に伴う体重の増加と食べ過ぎや食事の減らし過ぎ、運動不足による肥満があわさっていることもあります。
活動量以上に食べている場合は、食事と運動量のバランスを調整しない限り減量は進みません。その一方で、極端に食事量を減らしてしまうと、それに伴って基礎代謝が低下し、食事量を減らしても太りやすくなってしまうことがあります。
橋本病では一般的に食欲が減退するとされていますが、なかには食欲のある方、食べ過ぎている方もいます。
客観的に食べ過ぎや食事の減らし過ぎについて見なおす必要があります。
食事療法その3. 栄養バランスを意識
太らないためにカロリー(摂取エネルギー量)ばかりを気にしていませんか?
カロリーだけではなく、ビタミンやミネラルもスムーズな代謝には欠かせません。
お菓子を食べて食事を減らすような食生活ではビタミンやミネラルが不足し、カロリーを減らしても太りやすくなってしまいます。
肉や魚、野菜など、ビタミンやミネラルが豊富な食材をしっかりと食べましょう。
痩せるお茶等の健康食品は役に立ちますか?

減量効果を期待して痩せるお茶を取り入れている方がいます。痩せるお茶とは、LDLコレステロール値や中性脂肪値を下げる効果をうたったお茶や、お通じを促す成分が含まれるお茶等があります。
宣伝効果によってこれらの製品に過度に期待してしまったり、また、作用の仕組み上、甲状腺疾患の方には効果がないことも十分に考えられます。
さらに「効く」可能性があるのであれば、「副作用」のリスクにも注意が必要です。習慣的な利用は健康リスクを伴う恐れもあります。
自己流で何かに頼るよりも、まずは食生活のバランスを見直すことが大切です。
適度な運動を
栄養バランスの良い食生活に加えた適度な運動は食事療法の効果増進が期待されます。ウォーキングや体幹トレーニングなど、少しずつご自身のペースで運動をしてみてはいかがでしょうか?