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橋本病の食事療法をチャット GPTに聞いてみた

チャットGPTを用い、橋本病の食事療法について尋ねてみました。はたしてチャットGPTの回答がそのまま記事になるのか、甲状腺の栄養学の専門家が検証してみました。

橋本病の食事療法についてチャット GPTの回答を専門家が検証
橋本病の食事療法についてチャット GPTの回答を専門家が検証

Chat GPT(チャットジーピーティー)とは


チャットGPTはOpenAIが開発した人工知能技術です。大規模データから学習しながら自然言語処理を行い、検索内容に対し、対話するように自然な文章を作成してくれます。

 

チャットGPTの発表以来、世界中で話題を集めており、すでに利用された方も多いのではないでしょうか?

 

ブログからレポート作成のヒントまで、あらゆる問いに答えてくれるため、便利なツールのように見えますね。

チャットGPTの回答について専門家が検証


今日はチャットGPTを用い、橋本病の食事療法について尋ねてみました。

 

はたして適切な回答が得られたのか、チャットGPTの回答がそのまま記事になるのか、甲状腺の栄養学の専門家が検証してみました。

 

まずは、こちらからの質問と、そこで得られた回答をそのままのせています。

 

はじめにお伝えしておくと、得られた回答は必ずしも正解ではありませんでした。

橋本病の食事療法で大切なことは?


Q.橋本病の食事療法を人々に伝えたいのですが、どのような点が大切ですか?

 

このような質問をチャットGPTに投げかけてみたところ、次のような回答が得られました。

 

A.

 

“橋本病は甲状腺自己免疫疾患の一種であり、甲状腺の機能低下を引き起こす病気です。食事療法は橋本病の管理に重要な役割を果たすことが知られています。以下は、橋本病の食事療法を人に伝える際に大切なポイントです。

  

炎症を抑える食事: 橋本病は免疫系の異常により甲状腺が攻撃されるため、炎症を抑える食事が重要です。抗酸化作用のある食品や抗炎症作用のある食品を摂取し、炎症を抑えることが大切です。例えば、カラフルな野菜や果物、ナッツや種、魚などが含まれます。

 

グルテンの制限: グルテンは橋本病患者の中で、自己免疫反応を引き起こす可能性があるとされています。そのため、グルテンを含む食品の摂取を制限することが推奨されています。小麦、大麦、ライ麦などの穀物に多く含まれていますので、注意が必要です。

 

良質なタンパク質の摂取: タンパク質は免疫機能をサポートし、甲状腺機能を正常化するのに重要な栄養素です。魚、鶏肉、豆類、卵、ナッツなどの良質なタンパク質をバランスよく摂取することが大切です。

 

ヨウ素の摂取: 橋本病患者は甲状腺ホルモンの合成が低下しているため、ヨウ素の摂取に注意が必要です。一方で、摂り過ぎも問題となりますので、医師の指示に従い適切なヨウ素の摂取を行うことが大切です。

 

個別に合った食事プラン: 橋本病の症状や重症度は個人によって異なるため、個別に合った食事プランを作成することが重要です。”

チャットGPTの回答で同意できた点

  • 食事療法は橋本病の管理に重要な役割を果たすこと
  • 抗酸化作用のある食品や抗炎症作用のある食品を摂取し、炎症を抑えること
  • 良質なタンパク質の摂取
  • ヨウ素の摂取
  • 個別に合った食事プラン

 

以上の項目について、各項目についてかなりの補足が必要であるものの、おおよそ同意できる内容でした。

 

本サイトや出版書籍でも詳細を解説しているポイントです。ただ、項目はこれだけでは不十分で、さらにいくつか必要ではあります。

チャットGPTの回答で疑問を感じた点

 

グルテンの制限については、近年では不要であるという結果を示す論文が増えていることから、この回答については疑問を感じました。そのため、グルテンの制限について、もう少し詳しく問い合わせてみました。

 

すると、以下のような結果にかわりました。

グルテンフリーについて回答が一変

"橋本病は自己免疫疾患の一種であり、甲状腺の機能低下を引き起こす病気です。グルテンフリーの食事が橋本病に効果があるかどうかについては、科学的な証拠が限られています。現時点では、橋本病に対して一律にグルテンフリーの食事が推奨されるべきかどうかについては、専門医の指導を受けることが重要です。

 

一部の研究によれば、グルテンを含む食事が橋本病の症状を悪化させる可能性があるとされています。これは、グルテンが免疫反応を刺激し、甲状腺の自己免疫攻撃を促進する可能性があるためです。そのため、一部の医師や患者は、グルテンフリーの食事を試してみることをお勧めしている場合があります。

 

しかし、一方で、グルテンフリーの食事が橋本病の症状に対して直接的に有効であるという科学的な証拠はまだ不十分であり、全ての患者に対して一律にグルテンフリーの食事が必要とされるわけではありません。また、グルテンフリーの食事は栄養バランスが偏りやすく、食事の多様性を減らす可能性があるため、注意が必要です。

 

したがって、橋本病の場合には、専門医の指導を受けながら、適切な食事療法を選択することが重要です。個々の症状や体調、食生活の状況などを総合的に評価し、最適な食事プランを決定するために医師や栄養士と相談してください。

チャットGPTの回答は正解とは限らない

チャットGPTは質問の投げかけ方によって回答が変わる点について、特に注意が必要です。

 

今回、回答が一変したグルテンの制限について、「橋本病におけるグルテンフリーの食事が有効であるかどうかについての科学的なエビデンスは、研究の進行状況や専門家の見解によって変化する可能性がある」ことについて警告していました。

 

つまり、チャットGPTの回答は、必ずしも正解とは限りません。問い合わせ方によって回答が大きく変化する恐れがあります。そのために、あらかじめ予備情報のない方が、回答をうのみにしてしまうのは危険です。

 

特に、橋本病の食事療法については、現在進行形で進歩しているため、AIに聞いても正しい情報が得られるとは限らないのです。

食事療法で大切にしてほしいこと

橋本病の方は長く食事療法を続けることが大切です。

 

そのためには「制限すべき食品をできる限り減らすこと」が重要だと考えています。

 

今回のグルテンの件に関してもいえることですが、グルテンの制限が必要な方は、すべての橋本病の方ではなく、ごく一部の方です。こういった情報の誤差は、多くの方に不要な制限をつくってしまうことになります。

 

毎日の食生活で、あれもだめ、これもだめ、といった制約ばかりでは食事療法そのものがストレスになってしまいます。

 

食事療法について正しい情報を得ながら、心配な点については医師や管理栄養士に相談し、食生活を楽しみつつ、体調管理に役立てて欲しいと思います。

 

まとめ

今後はチャット GPTによって書かれた健康情報も広まっていく可能性があります。

ご自身で直接検索する機会も増えるかもしれません。

 

しかし、このようにチャットGPTの回答は質問の仕方によっても大きく変わります。

 

特に、甲状腺疾患の食事療法に関するエビデンスは現在進行形で増えているため、AIでは対応しきれていません。

 

本サイトではこういった情報の誤差も考慮しながら、最新の情報を分かりやすく伝えていきたいと思っています。