
昨年から今年にかけ、季節を問わず毎日マスクをつける機会が増えました。
このようなマスク習慣により、肌荒れを訴える方が目立ちはじめています。
バセドウ病や橋本病をはじめとする甲状腺疾患の方は、甲状腺ホルモンが新陳代謝に影響を与えるために肌荒れが起こりやすく、また、アレルギー反応を起こしやすい方も多いため、マスク着用の際は肌荒れ対策に注意が必要です。
マスクによる肌荒れ 種類は?
マスクによる肌荒れは、長時間のマスク着用によって起こりやすくなります。
1日6時間以上のマスク着用、習慣的な着用によって起こりやすくなると考えられています。肌荒れはいくつかのタイプに分かれます。
1. 刺激性接触皮膚炎や蕁麻疹
第一の原因はマスクの肌への接触摩擦や圧迫による肌荒れです。マスクが肌に触れることによって摩擦や圧迫がおき、肌が荒れて赤味を帯び、かゆみや痛みを伴います。ただれ、水膨れ、蕁麻疹をともなうこともあります。

2. アレルギー性接触性皮膚炎
マスクが接触することにより、アレルギー症状を引き起こすことがあります。アレルギー反応は遅延型と考えられ、時間経過とともに、次第に症状が出やすくなることがあります。
アレルギー症状はマスクをフィットさせるためのワイヤーによるアレルギー反応の場合もあります。ただし、マスクのワイヤーに用いられるニッケルやコバルトに対する金属アレルギーを起こす方は、あまり多くはないと考えられています。
3. アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の体質の方は、マスクをつけ続けることで、アトピー性皮膚炎を起こす恐れがあります。
思春期の方は脂漏性皮膚炎が起こりやすくなります。
いずれもマスクによって肌周辺に湿度がこもることが原因の1つです。
4. ニキビ(マスクネ)

マスク着用によってニキビができる方がいます。これは「マスクネ(マスク+アクネ)」と呼ばれています。
マスクなどの長時間着用により、毛穴に炎症が起こるためです。
マスク肌荒れに対する対策は?
☆肌バリアをつくる
マスクをする際、肌にクリームを塗るなどして、マスクが直接肌に触れないように保護しましょう。肌に薄い膜を作るワセリンなどのクリームがおすすめです。
☆長時間の着用を避ける
マスクの肌への接触時間を減らすため、長時間の着用をできるだけ避け、定期的に「マスク休憩」の時間をとりましょう。
接触性皮膚炎については、マスク着用時間を減らすことで、比較的回復しやすいと考えられています。ニキビは一度できてしまうと治りにくくなってしまう恐れがあります。
いずれにせよ、できるだけ肌荒れを起こさないよう予防が大切になってきます。

☆適度なフィット感のマスクを選ぶ
あまり緩いものではマスクの効果はありませんが、圧迫が強すぎるものは肌荒れや蕁麻疹の原因となります。適度なフィット感のものを選びましょう。
金属アレルギーの心配のある方は、ワイヤーが入っていないタイプのマスクを選びましょう。
☆歯磨きをこまめにする
肌荒れには多くの場合、細菌感染が関与しています。口の中にも細菌は多く繁殖しているため、こまめに歯磨きをすることで、マスク着用時の肌荒れの悪化防止にもつながります。

食生活におけるマスク肌荒れ対策は?
食生活においてはニキビや脂漏性皮膚炎防止のため、脂っこいものの食べすぎに注意しましょう。
そして肌荒れを防ぎ、回復を促すために、ビタミンB2やB6が豊富に含まれる乳製品、肉、魚をしっかりと食べましょう。

適切なマスク肌荒れをし、肌荒れの起こりやすい梅雨や夏の時期を快適に乗り切っていきましょう。
肌荒れの症状がひどい時は一時的に抗ヒスタミン薬の服用が推奨されています。気になる症状がある場合は自己判断せず皮膚科医にご相談下さい。