橋本病やバセドウ病の方は、季節の変わり目に体調を崩したり、お天気の悪い日に不調を感じやすくなります。このような症状は自律神経失調症と呼ばれています。原因や対処法についてお伝えします。
甲状腺ホルモンは気温や季節によって変動する

ここのところ気温が下がり、急に秋めいてきました。
橋本病・甲状腺機能低下の方はそろそろ寒さが辛いという方も多いかと思います。
それに対し、バセドウ病の方は暑くて辛い夏が一段落し、身体が少し楽になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
橋本病やバセドウ病の経過によっては、橋本病で夏が辛い方、バセドウ病で冬が辛い方もいらっしゃいます。
なぜ、このようなことが起こるのかというと、暑さや寒さが辛い、身体がついていかないといった症状は、実は甲状腺ホルモンの調整機構が関係しているからです。
橋本病やバセドウ病の治療を受けている方や、甲状腺ホルモンの検査を受けたことのある方はTSHという名前を聞いたことがあるかと思います。
TSHは甲状腺刺激ホルモンと呼ばれ、基礎代謝の調整を行っています。
TSHの刺激は甲状腺ホルモンの生産量を増減させ、基礎代謝を変動させています。
ところで、基礎代謝というと、多くの方は体重の変化を思い浮かべるかもしれません。
「基礎代謝が高い=健康的でスリムな体型・体重を維持しやすい」というイメージがありませんか?
たしかに間違いではないのですが、その他にも、基礎代謝の変動は重要な役割を担っています。
暑さや寒さの中でもできるだけ身体が適応できるように、私たちの体は基礎代謝を変動させることで制御されているのです。この制御をTSHがになっているのです。
TSHと甲状腺ホルモンの連動が上手くいっている場合は、気温の変化に身体は自然についていきますが、連動が上手くいかない場合は、気温差によって暑すぎる、寒すぎる、調子が悪いといった不調を感じてしまうことになります。
甲状腺刺激ホルモンTSHと体温調整や冷えの関係
甲状腺疾患の方の冷え対策は食事から

橋本病・甲状腺機能低下症の方は内服によって甲状腺ホルモンが正常値に保たれるように調整をしていきます。
バセドウ病の方は抗甲状腺ホルモン薬を内服することで、TSHが正常値に上昇するように治療をしていきます。
このようにTSHや甲状腺ホルモンをできるだけ正常値に整えることで、暑さや寒さにも適応しやすくなっていきます。
そうかといって、治療によって整えているわけですから、身体は気温の細かな変化には適応し辛い状況です。
これからますます寒くなっていきますが、寒さが苦手な方はできるだけ身体を冷やさず、温める対策をこれまで以上にしっかりととることで、身体に大きな負担をかけないようにしておきましょう。こうして、ご自身で体調を整えることで、少しずつ変化に適応しやすいように整えていきましょう。
食生活においては、砂糖や加工食品の多い食生活は身体を冷やす原因となってしまいます。
砂糖の過剰摂取に注意すること、また、身体を温める肉や魚、卵をはじめとするタンパク質が不足しないように意識的な摂取を心がけましょう。
なお、自律神経失調症は、橋本病やバセドウ病とは別に、ストレスや女性ホルモンの影響で起こることもあります。その場合は、それぞれの対策を心がけましょう。