心のバランスと栄養バランス

私たちはリラックスしている時でも、寝ている間も、脳だけは絶えず働いていることをご存知ですか?
脳はとても働きものです。それゆえに、たくさんのエネルギーを必要としています。
実際に、食事のエネルギーのうち20%は脳のために使われるのです。
エネルギーの供給源となるのは食べ物です。この多くが脳に行くのですから、食べ物の脳への影響は計り知れません。
食べ物は脳のエネルギーとなるだけでなく、食べ物のよしあしは脳の働きに良い影響も悪い影響も与えてしまいます。脳は心でもありますので、食べ物は私たちの心の状態にも大きな影響を与えているのです。
脳、つまり、心のバランスと栄養バランスはとれていますか?
ダイエットの心への悪影響

甲状腺疾患を発症された方は食生活の見直しについて一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
「太ったから食べる量を見直してみよう。」こんなきっかけの方が多いように思います。
もちろん体重が増えすぎれば、コレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化をはじめとする多くの健康問題に直結してしまいます。
これらの予防や改善のために食事を見なおすことはとても大切なことです。
ところが、減量を意識していると、食事量を減らすことばかりに気をとられてしまい、いつの間にか栄養不足になってしまうことがよくあります。
こんなとき、もっとも重要なことを忘れがちです。
それは、先ほどもお伝えしたように、食事のエネルギーをもっとも必要としているのは脳、つまり、「心」だということです。
食事を減らすばかりのダイエットは心の栄養を削ってしまいます。
心の栄養は足りていますか?

脳、つまり「心」にとって一番大切な栄養素は糖質です。そして、ミネラルも多く必要としています。
脳のエネルギー不足やその他の栄養不足が続けば心の問題をひき起こしたり、いま抱えている心の問題を悪化させてしまいます※。
ご自身の食生活を振り返ってみましょう。
脳のエネルギーは足りていますか?心の栄養は不足していませんか?
カルシウムや鉄などのミネラルは不足していませんか?
体重管理のために食事量をただ減らすことはとても危険です。食材の選び方や食べる量が大切です。
栄養バランスを考えた食事は、安全な体重管理に役立つだけでなく、それと同時に心の栄養を満たし、心の問題にも向かいあうことでもあるのです。
心のサインを感じたら、食事内容を見直してみましょう。
<参考文献>
※Harvard Health publishing, Nutritional psychiatry: Your brain on food
2020年6月26日参照