甲状腺ホルモンと食欲の変化

急に涼しくなると油脂の多いものや甘いものが食べたくなる方はいらっしゃいませんか?
フライドチキンやハンバーガー、ドーナッツなど、食べたい欲求はむくむくと湧いてくると思います。
このような食べ物の好みや欲求の変化に、実は甲状腺ホルモンが密接にかかわっていることをご存知ですか?
バセドウ病や橋本病と食欲

バセドウ病の方は強く食欲を感じやすく、その反対に橋本病の方は食欲がないということもあるでしょう。体調や症状によって、その反対になることもあります。
甲状腺ホルモンは基礎代謝を司るホルモンです。
涼しくなると体温を維持するために、甲状腺ホルモンが基礎代謝を活発にして体温を上げようとします。
体温を上げるためには、これまで以上に発熱しなければならなりません。
こってりしたものが食べたくなるのは、身体が発熱のためにエネルギーを多く必要としているためです。
つまり、甲状腺ホルモンが働きかけ、こってりしたものや甘いものを食べたいという欲求を呼び起こしているのです。
バセドウ病や橋本病の食欲との向き合い方

このような時は、身体の要求に従って食事を組み立ててみることも大切です。
もちろん、こってりしたものが食べたいからといって食べ過ぎてしまえば、エネルギーの過剰となり、体重の増加や他の病気のリスクを高める原因となってしまいます。
日頃、動物性脂肪を控えている方でも、鶏胸肉を皮付きで食べる等、食事に適度な動物性脂肪を取り入れてみましょう。
甘いものが食べたい場合は低GIのスイーツを楽しむのも良いでしょう。
気持ちを抑えすぎれば心身がストレスを感じてしまいます。適度に欲求を満たすものを取り入れながら、食事を上手に組み立て、いつまでも食べ続けないように工夫をしながら過ごしましょう。
参考文献
E Pucci et al. Thyroid and lipid metabolism. Int J Obes Relat Metab Disord.
2000 Jun;24 Suppl 2:S109-12. doi: 10.1038/sj.ijo.0801292.