
甲状腺疾患と新型コロナウイルスの関連について、各国の現況報告を確認しました。
国際甲状腺学会によると、甲状腺疾患を発症された方が健康な方と比較して新型コロナウイルス重症化のリスクがあるか否かについては、特別な証拠はないとのことです。全ての方と同様に、感染症対策を行うようにと呼びかけを行っています。
イギリスの甲状腺学会の報告によると、バセドウ病や橋本病の免疫異常を来たす部分とウイルス感染によって免疫系が戦う部分は異なるために、甲状腺疾患そのものが新型コロナウイルスのハイリスク要因とは考えられてはいないとのことです。
ただし、新型コロナウイルスは新しいウイルスであるために、いまだに明らかでないことが多くあります。そのためにハイリスク要因と考えられていないからと言って安心できるわけではありません。また、甲状腺疾患に起こりやすい合併症はリスク要因と考えられ、引き続き十分な対策が求められます。
続いて、イギリスの甲状腺学会が2020年3月5日発表、3月25日に更新した情報をお伝えします。なお、アメリカの甲状腺学会はイギリスの甲状腺学会における新型コロナウイルス関連情報を参照するように促しているため、見解は全て一致します。
新型コロナウイルス感染症の自覚症状
イギリスの甲状腺学会の報告によると、新型コロナウイルス感染症の自覚症状は次の通りです。これは甲状腺疾患の方に限らず、全ての方に共通する症状です。
- 背中や胸を触ると熱く感じる
- 咳が1時間以上続く又は24時間以内に3回以上の連続した咳がでる
体温を測らなくてもわかるほど背中や胸を触ると熱く感じること、連続した咳が出ることが大きな特徴であるとのことです。
しかしながら、嗅覚や味覚の異常をはじめ、これ以外の症状も多く報告されています。基礎疾患のある方はこれまで以上にご自身の体調の変化に注意しましょう。
次に該当する方は十分な注意が必要です
イギリスの甲状腺学会の報告によると、甲状腺疾患以外に関節リウマチや多発性硬化症等による免疫調整剤や癌の化学療法を受けている方、臓器移植後の方、後天性免疫不全症候群を発症されている方は重症化のリスクがあります。十分な対策を行って下さい。
新型コロナウイルスの重症化要因
現在、新型コロナウイルスの重症化のリスク要因として報告されているのは、次の通りです。
- 心臓病
- 高血圧
- 糖尿病
これらに関連する合併症がある方は十分な注意が必要です。
また、喫煙も新型コロナウイルス感染症の重症化を高めるリスク要因であることが報告されています。
新型コロナウイルス感染症対策のまとめ
国際甲状腺学会及び、イギリス甲状腺学会において注意を呼びかけている感染症対策は次の通りです。
- 人ごみを避ける
- 目や鼻、口を触らない
- 手洗いを徹底し最後に20秒以上水洗いする
- 60%以上のアルコールで消毒する
- 体調の悪い時の移動は避ける
不要不急の外出を控えると同時にこれらの対策を行いましょう。
また、ストレスを溜めないように出来るだけリラックスする時間を設けること、睡眠を十分にとること、栄養価の高い食生活を送ることも対策となります。
甲状腺疾患と新型コロナウイルス参考文献
国際甲状腺学会 新型コロナウイルスについて学会代表メッセージ
https://www.thyroid-fed.org/tfi-wp/covid-19/
イギリス甲状腺学会 甲状腺疾患と新型コロナウイルスについて
https://www.btf-thyroid.org/news/thyroid-disease-and-coronavirus-covid-19
アメリカ甲状腺学会 患者情報
https://www.thyroid.org/thyroid-information/
(いずれも2020年3月25日参照 )