甲状腺と栄養・食事


偏った食事は甲状腺ホルモンのアンバランスにつながる恐れがあります。甲状腺ホルモンを整える様な食事は治療をサポートし、体調を整えます。

 

潜在性甲状腺機能低下症と言われたら、食事のバランスに気を付けましょう。適切な栄養は甲状腺ホルモンを整えて、潜在性甲状腺機能低下症の進行を出来る限り抑制することができます。

 

バセドウ病や橋本病の方はそれぞれの症状に合わせて必要な栄養を摂取することで、治療を効果的に進めることができます。

  

まずは甲状腺疾患の方にとって避けるべき食生活、甲状腺に負担がかかるような食生活を把握し、これらを避けた上で、甲状腺疾患別のポイントや個別の症状に合わせた食事療法を実践していきましょう。


甲状腺に負担がかかる食生活とは?


橋本病、バセドウ病の方は甲状腺に負担のかかる食生活を避けましょう
橋本病、バセドウ病の方は甲状腺に負担のかかる食生活を避けましょう

甲状腺や甲状腺ホルモン代謝に負担をかける食生活とは、どのようなものでしょうか?

  

<甲状腺に負担をかける食生活例> 

✔ ヨウ素の過剰摂取

✔ 砂糖の過剰摂取

✔ 塩分の過剰摂取

✔ 無理なダイエット

✔ 食べ過ぎ

✔ 厳しい糖質制限

✔ お酒の飲み過ぎ

 

塩分や砂糖の過剰摂取や無理なダイエットが良くないことは一目瞭然ですね。このような食生活は避けましょう。

 

食事療法と考えると、「何か効果のある特別な栄養素をとらなければ」と考える方が多いようです。

 

ビタミンやミネラルなどのことを考えることは大切ですが、初めに必要なことは食生活の「基本」を見直す作業です。

 

基礎代謝に大きな変化をもたらす甲状腺疾患の症状においては、このような作業が必要不可欠です。色々な栄養素のことを考える前に、まずはこれらの✔項目を見直してみましょう。

 

これらの項目を考慮せずに色々な栄養素を摂取しても、効果はあまり発揮されません。基本を見直した上で、お一人お一人の症状や体質に合わせた栄養素を補っていくことで、効果のある食事療法を実践することができます。

 

 

 


すべての基本は橋本病の食事法


橋本病やバセドウ病の基本の食事療法とは
橋本病やバセドウ病の基本の食事療法とは

 甲状腺疾患の食事療法の基本は「橋本病の食事法」です。橋本病の方は基礎代謝が低下し、様々な不調を感じやすくなっています。

 

基礎代謝が低下している際は、肥満や脂質代謝異常、糖代謝異常を招きやすいため、第一に栄養素をバランス良く、なおかつ効率的に摂取できるような食事をとることが大切です。

 

太りやすい、痩せにくからといって食事量を安易に減らしたり、コレステロールが高いからと言って動物性タンパク質の摂取量を極端に減らすと、かえって症状の悪化につながる恐れがあります。

 

橋本病の食事法は、これらの症状を踏まえ、基礎代謝を改善するための栄養バランスを考慮した食事法です。

 

バセドウ病の方は主に服薬治療によって甲状腺ホルモン分泌量を減らしていくため、これまでよりも甲状腺機能は低下傾向になります。治療の初期段階ではバセドウ病の代謝を十分に考慮した栄養が必要ですが、治療が進めば橋本病の食事法が基本になります。

 

バセドウ病の方でアイソトープ治療や甲状腺の外科的切除を受けた方も、基礎代謝の低下が起こりやすいために、橋本病の食事法のように、摂取カロリーと栄養バランスを考慮した食事療法の実践をおすすめ致します。

 

潜在性甲状腺機能低下症、橋本病の疑いの方は、自覚症状を伴わないと言われていますが、実際には体重の増加をはじめ、多くの症状が確認されています。治療が必要でない段階においても、橋本病の食事法を実践することで、体重や体調の管理を適切に行うことができます。また、治療が必要な橋本病への進行の予防効果も期待できます。

 


橋本病、バセドウ病と飲酒やタバコのリスク


甲状腺疾患を発症すると代謝異常が起こるため、肝臓にも大きな負担がかかってしまいます。そのような状況でお酒を飲みすぎれば肝臓に過度の負担がかかってしまいます。

 

また、肝臓に負担をかけることで、甲状腺疾患だけでなく、脂質異常症や糖の代謝異常などを引き起こす恐れも出てきてしまいます。症状が落ち着くまでは飲酒を控え、症状が落ち着いてからもお酒の飲み過ぎには気を付けましょう。

 

また喫煙はバセドウ病やバセドウ病眼症を悪化させる大きな要因の1つです。タバコを吸っていらっしゃる方は禁煙を強くおすすめします。 また、副流煙もできるだけ避けるようにしましょう。

 

飲酒に問題がないと言われている場合も、お酒を飲む際は下表の量を目安にして下さい。

 

ビール

日本酒 チューハイ ワイン ウィスキー・ブランデー 焼酎

 

500ml1杯

 

 

1合

 

 

350ml1.5杯

 

 

グラス2杯

 

 

ダブル1杯

 

 

 0.5合

 


ゴイトロゲンは避けるべき?


橋本病、バセドウ病の方はゴイトロゲンを避けるべきでしょうか?
橋本病、バセドウ病の方はゴイトロゲンを避けるべきでしょうか?

 

「ゴイトロゲン」とは甲状腺腫を引き起こす物質のことをいいます。

 

ブロッコリーキャベツなどのアブラナ科の野菜大豆はゴイトロゲンを含む代表的な食品です。

 

ゴイトロゲンを含む食品は甲状腺機能の低下を招くため、食べない方が良いという海外の研究結果も出ています。本当に食べない方が良いのでしょうか?

 

実際には、アブラナ科の野菜には橋本病の方にも必要な栄養が豊富に含まれています。当然、ゴイトロゲンが含まれる野菜ばかりを食べ続ければ悪影響のリスクもありますが、それは、ゴイトロゲンに限らず、他の栄養素でもいえることです。

 

栄養素は食べるか、食べないかだけではなく、「食べる量」や「組み合わせ」によっても、体に良い影響を与える場合と、悪い影響を与える場合もあります。そのために、「食べて良い」、「食べてはいけない」という情報だけでは、どちらもあいまいです。

 

ゴイトロゲンが含まれる食品には身体に必要な栄養素も多く含まれています。正しい食べ方をすることで、甲状腺疾患の治療を妨げることなく、栄養を生かすことができます。

 

特定の野菜ばかりを食べるのではなく、ゴイトロゲンが含まれる野菜も含め、色々な野菜をしっかりと食べましょう。

 

大豆についても同様に言えることです。減量のために豆腐ばかりを食べるような食生活は避け、豆類も様々な種類のものを食べるようにしましょう。